村田諒太、闘争本能を解禁「絶対に倒すので楽しみにしていてください」

スポーツ報知
前日計量をクリアした村田諒太(左)と挑戦者ブラント

◆プロボクシング世界戦 WBA世界ミドル級タイトルマッチ 王者・村田諒太―同級3位・ロブ・ブラント(10月20日、米ネバダ州ラスベガス・パークシアター)

 【ラスベガス(米国)19日=飯塚康博、浜田洋平】WBA世界ミドル級王者・村田諒太が、「絶対に倒す」とKOへの意欲をたぎらせた。同級3位ロブ・ブラントとの2度目の防衛戦は20日(日本時間21日)、同地でゴング。19日は試合会場で公開計量が行われ、村田はリミットを0・3キロ下回る72・2キロで一発パス。挑戦者と向かい合うと、封印してきたKO勝ちへの思いをあらわにした。判定勝ちが優勢だった現地オッズを見返すKO勝利で、日本人王者の意地を見せる。

 村田が本能を呼び起こした。互いの顔をつきあわせる約15秒のフェースオフ。目を見開いて敵意むき出しでにらみつけてきたブラントを見下ろした。「目の前にすると『倒したいな』という気持ちが強くなる。強いパンチを打ち込んで、ぶん殴ってやりたい」。これまでは、KO狙いは重心などのバランスを崩すため「KOはできればいいな、くらいで」と話してきたが、闘争心を解放した。

 本場で名を売れば、待望のビッグマッチが近づく。そのためにはKO勝利が絶対条件。村田とプロモート契約する米興行大手・トップランク社CEOのボブ・アラム氏(86)は、実現に前向きだ。村田が勝てば来年3月をめどにラスベガスか東京ドームで、元3団体統一王者ゲンナジー・ゴロフキン(36)=カザフスタン=と対戦交渉を進めると明言している。先の話題が先行するなか、村田はただ熱いだけではない。「前半はしっかり相手のパンチを見切ることが大事。中盤以降しっかり圧力をかける」と、冷静に攻略法を描いた。

 にじみ出るKO意欲とは対照的に、ギャンブルの聖地は意外な指針を示した。カジノ大手・MGMリゾートの勝敗オッズ(19日朝時点)は、村田が1・18倍、ブラントが4・5倍と王者勝利を期待。しかし、内容は村田のKO勝ちが2・4倍、判定勝ちが1・63倍と判定決着が優勢だ。挑戦者の素早いフットワークを考慮したのか、村田が仕留められないとみていた。

 「僕は、握手は相手(からのアプローチ)次第です」と17日の公開練習で初対面して以降、相手と一度も交わしていない。この日は敵陣営、一般ファンなど約300人が集まった会場で、ブラントが登場すると歓声が上がった。完全アウェーのなか、日本の誇る中量級王者は米メディアのインタビューで宣言した。「絶対に倒すので楽しみにしていてください」。マイク越しに響いた声は、世界のボクシング・ファンへのメッセージ。ベガスのオッズは、命を賭して覆す。(浜田 洋平)

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