尾川堅一、資格停止処分明け初戦に判定勝ちで涙 「すみません。本当にこの復帰戦は怖くて…」

2019年2月2日21時3分  スポーツ報知
  • 6回、左フックを決める尾川(左)(カメラ・清水 武)

 ◆報知新聞社後援◇プロボクシング・ダイナミックグローブ▽59・8キロ契約10回戦 尾川堅一〇―●ロルダン・アルデア(2日、東京・後楽園ホール)

 前日本スーパーフェザー級王者・尾川堅一(31)=帝拳=が、1年2か月ぶりの復帰戦を白星で飾った。ロルダン・アルデア(24)=フィリピン=に3―0の判定勝ち。2017年12月のIBF世界同級王座決定戦で判定勝ちした後に薬物違反で無効試合となり、1年間の資格停止処分を受けたが、再び世界王者への挑戦が始まった。尾川の戦績は23勝(17KO)1敗1無効試合、アルデアは11勝(6KO)7敗1分け。

 尾川は冷静に相手を見ながら入ると、徐々にタイミング良く右ストレートを入れた。サウスポーの相手に攻めあぐねる場面もあったが、7回にはカウンター気味の右ストレートから連打を浴びせた。派手なKO勝利とはいかなかったが、終始ペースを握った3―0の判定勝ち。浜田剛史代表、山中慎介氏、五十嵐俊幸氏、粟生隆寛、村田諒太ら帝拳ジムの歴代世界王者が見守る中での勝利だった。

 リング上のインタビューでは声を詰まらせ、涙を拭った。「すみません…。本当にこの復帰戦は怖くて、本当にお客戦が集まってくれるかとか。こんなにたくさんのお客さんが応援してくれて感謝の気持ちでいっぱいです。やっぱりボクシングを見に来るということは、倒すことを見たくて来てくれる。見せたくて空回りすることもあったけど、声援を受けて最低限勝つことができた。次を見据えて、2戦目に臨めればと思う。本当に緊張した。緊張に押しつぶされそうなくらい緊張した。ジムのみんなも応援してくれた。さすがに10回判定で大きなこと言えない。昨日31歳になって、もう時間も残されていない。これからも頑張ります」

 17年12月、米ラスベガスの世界戦で判定勝ちした後、薬物違反が発覚。意図的摂取を否定してきたが、原因と見ていた持病のアトピーの塗り薬だと立証できず、摂取経路も明確に示せなかった。現地コミッションから6か月、日本ボクシングコミッションから1年間の資格停止処分を受けた。無効試合となり、世界王座獲得の事実さえなくなった。

 自宅で練習する日々が続いた昨春を「7割くらい辞めるつもりだった。家族の生活もあるし。一度、心が折れていた。投げやりになったし、ボクシングなんて…とも思った」と振り返る。飾っていた世界王者のベルトもない。しかし、妻・梓さんと3人の息子たちが支えになった。「朝起きると、呪文のように言われた。『パパ~、ベルト見たい~』って。妻がそう言わせていたのかも」。6月頃からジムワークを再開。腹をくくって走り出した。

 1日は、自身と三男・皇(おう)君の誕生日。3歳となった末っ子は初めて試合を観戦した。リングに上がる直前の花道で愛息たちにキス。「パパ、頑張れ~!」と、長男・豹(ひょう)君(5)、次男・亜陸(あり)君(4)と合わせてかわいい声援が飛んだ。「息子3人がそろうのは初めて。またベルトを見せたい。(自分を)信じてくれる人のために、もう一度世界王者になりたい」。ボクサー人生再開のゴングを鳴らした。

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