脳外科医ボクサー田中将大 衝撃の25秒TKOデビュー

2019年2月6日20時46分  スポーツ報知
  • 1回、連打からの右フックで2度目のダウンを奪う田中将大(右)

 ◆プロボクシング ▽ミニマム級(47・6キロ以下)4回戦(6日、東京・後楽園ホール)〇田中将大(1回TKO)瀬下雄介●

 日本ボクシングコミッション(JBC)のコミッションドクターを務めていた脳外科医の田中将大(29)=川崎新田=が、瀬下雄介(27)=協栄=とのミニマム級4回戦を行い、1回25秒TKO勝利を収めた。

 1回の開始のゴングが鳴ると、田中は猛ダッシュで瀬下との間合いを詰め、いきなり右のロングフックを浴びせ、先制のダウンを奪った。わずか5秒の出来事だった。どうにか立ち上がった相手に連打で襲いかかった。ロープ際に追い込んだところに最後は右フックで2度目のダウンを奪取。レフェリーが試合を止め、TKO勝利が決まった。試合から25秒しか立っていなかった。

 奇襲攻撃を成功させた田中は「最初から狙っていた。パンチを当てにいった。トレーナーのおかげです」と冷静に語ったが、衝撃の結末には「リングの上から見た景色は最高でした。ただ、もうちょっと楽しみたかったですけど」と頬を緩めた。それでも「恐怖感はありました」と本音ものぞかせた。

 聖マリアンナ医科大を卒業後、脳外科医となった。卒業後は沖縄、神奈川、福島の病院を経て、2015年に上司のすすめでJBCのコミッションドクターに就いた。前日計量や試合などでボクサーと触れ合っていくうちに「選手たちの気持ちを分かるようになれば…」という思いが芽生え始め、ボクサーライセンスを取得することを決意。当時の勤務していた神奈川県川崎市の病院に近い、川崎新田ジムに入門した。17年にプロテストに合格。JBCのドクターとしての立場もあり、実際にデビューするかは悩んだというが、思い切ってデビューすることを決意。前例のないコミッションドクターからのプロボクサー転身となった。

 ドクターとして年間で20以上の興行に立ち会ってきた。初陣の奇襲作戦も「デビュー戦の選手は足首やひざが硬い。自分ならどう戦うかという目で試合を見てきた」と鋭い分析を試合にぶつけた形だ。日々の練習や減量でも自ら“標本”となり、分析を積み重ねてきた。

 川崎新田ジムの新田渉世会長(51)は予想を超えた結末に「田中はドクターとして宝なので、できれば試合をやらせたくなかったですが…」と苦笑い。田中は試合前からデビュー戦の手応え次第で、今後の身の振り方を考えていたそうだが、「楽しかったので続けていきたい」と明言。脳外科医とボクシングの両立を目指していく。

 ◆田中 将大 1989年3月6日、東京・八王子生まれ。29歳。千葉・暁星国際高から聖マリアンナ医大に進学。学生時代は剣道に打ち込み、段位は三段。卒業後は病院勤務を経て、2015年に日本ボクシングコミッションのコミッションドクターに就任。16年に川崎新田ジムに入門し、17年にプロテスト合格。身長162センチの右ファイター。

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