井上尚弥、多数のテレビ出演の裏に芽生えた“最高傑作”としての自覚

スポーツ報知
2冠の井上尚弥

 プロボクシングの2018年年間表彰式が8日、都内で行われ、最優秀選手賞とKO賞の2冠に輝いたWBA世界バンタム級王者・井上尚弥(25)=大橋=が、日本ボクシング界を引っ張っていく決意を示した。

 4年ぶり2度目の最優秀選手賞。記者投票で37票の満票となり、名実ともに日本ボクシング界を代表する存在となった。10月の試合以降、年末年始もテレビ番組の出演で引っ張りだこ。お茶の間にモンスターの姿を届け、表彰式の壇上では「ボクシングに興味のない方にも見ていただけるように、ボクシング界の活性化をしていきたい」とコメントした。

 その後の囲み取材でも思いの丈を語った。「ボクシング人気の活性化というと、試合だけだと難しい。見ない方にも興味を持ってくれればと思って(テレビに)出ている。この1年で試合をこなして、そういう立場になったと感じている。他の競技に負けていられない。ただの殴り合いじゃないぞっていう面白さを見せていきたい」。昨年は5月と10月の2試合で戦ったのは合計182秒と圧勝続き。次元の違うパフォーマンスで観衆を魅了し、思いを体現してきた。

 他団体王者らとトーナメント方式で争う「ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)」の初戦を突破し、次戦の準決勝はIBF王者エマヌエル・ロドリゲス(26)=プエルトリコ=と戦う。時期は4月か5月、場所は米国か英国が候補だ。

 「(WBSSで)しっかり優勝して、次につながるように。また日本のチャンピオンが出られるように、そこまで持っていきたい。まずは優勝です。(4月で)26歳になるし、ボクサーとして中堅クラス。引っ張っていく気持ちも少しずつ出てきている」。日本ボクシング史上の“最高傑作”とまで称されるモンスターは、海外における日本人ボクサーの価値を高めることも見据えている。

 今月は走り込み中心のグアム合宿を予定し「準備は着々と進んでいる。試合までに仕上げたい」と意欲。昨年末にWBC世界同級暫定王者を獲得した弟の拓真(23)=大橋=は優秀選手賞、2人の息子を世界王者に育てた父・真吾氏はトレーナー賞を受賞した。井上は「家族みんなでやってきた。結果はみんなが認められた賞なのでうれしい」と喜んだ。

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