井上尚弥とのスパーで陥った東洋太平洋王者のスランプ「ボッコボコ。細胞が恐怖心を与えられた」

スポーツ報知
初防衛に成功した勅使河原弘晶

◇プロボクシング▽東洋太平洋スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦 王者・勅使河原弘晶―同級7位・入口裕貴(14日、東京・後楽園ホール)

 東洋太平洋スーパーバンタム級王者・勅使河原弘晶(28)=輪島功一スポーツ=が、初防衛に成功した。同級7位・入口裕貴(21)=エスペランサ=に8回1分56秒TKO勝ち。日本ライトフライ級王座決定戦は、同級1位・堀川謙一(38)=三迫=が同級2位・戸高達(29)=レパード玉熊=に8回終了TKO勝ちし、王座返り咲きに成功した。勅使河原の戦績は19勝(12KO)2敗2分け、堀川は39勝(13KO)15敗1分け。

 勅使河原は、ガードを下げて上半身だけで相手のパンチをかわし、タイミングよくカウンターを入れた。時折パンチをもらう場面もあったが、重い拳で4回には相手を血まみれに。8回に連打を浴びせ、昨年10月に獲得した王座を死守した。

 思いもよらない不調に陥っていた。試合1か月前にWBA世界バンタム級王者・井上尚弥(25)=大橋=とスパーリング。「ボッコボコにされた。細胞が恐怖心を与えられたような感じ。どうやって(パンチを)よけていたかわからなくなった。スランプですね。終わっておかしくなった。言葉で説明できない」とモンスターとの対峙(たいじ)で自分を見失った。

 世界の最前線に立つ相手との練習は収穫があるもの。しかし、勅使河原は「ないっすね。倒されないのがよかったくらい。それじゃダメなんですけど」とポツリ。「ここ1か月悔しい思いをしてきて、今日もリングでパンチをもらいながら惨めな気持ちになった。悔しくて、悔しくて」と言葉を並べつつ「これも全て言い訳になる。今日のリングで見せたのが今の実力です」と潔く話した。

 だが、勝ったことが救いだ。「勝てて、こうやって取材していただけるのがありがたい。世界王者になるので、ここで苦戦していてはいけない。次は日本で一番強い選手とやりたい。『もう勅使河原は世界に行ける』って思ってもらってから世界に行きたいので。いばらの道を進んで行きたい」と強敵を求めた。

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