【田中恒成VS田口良一 世界戦平成最後の日本人対決】<下>木村翔、恒成は気持ちが強い

スポーツ報知
18年9月、木村を判定で下して王座奪取。3階級制覇を達成した田中(左)

 ◆プロボクシング▽WBO世界フライ級(50・8キロ以下)タイトルマッチ12回戦 王者・田中恒成―同級4位・田口良一(16日・岐阜メモリアルセンターで愛ドーム)

 スピード自慢、テクニシャン、エリートなど田中を表する言葉は数多い。だが、前王者・木村が最も強く受けた印象はこれらと異なる。「一番、思ったのは気持ちの強さ。日本人同士って意地の張り合いが出るんですよ。他の試合とは違う」。後に2018年度の世界戦年間最高試合に選ばれた壮絶な打撃戦。拳を交えたことで田中の強さを知った。

 日本屈指のファイター・木村は、4分×12回のスパーリングなどで作り上げた無尽蔵のスタミナで倒しにかかった。「結構、いいのが入っていた」と拳に確かな手応えもあった。しかし、挑戦者は倒れない。「打ってもすぐに返されるのはつらい」。互いの顔は腫れ上がった。頭をつけてきた相手について「(普段は)そういうタイプじゃない。それくらい根性を決めて、僕との試合をしてきた。互いの気持ちがぶつかり合った」。ダメージ以上に体に染み渡ったのは、挑戦者の泥臭い“魂”だった。

 「(田中は)打ち合いもできる。足も、技術もある。スピードも速いし、全てそろっている。5階級制覇を目標にしているようだし、してほしい。まだ若いしできる。同じ日本人として誇れる王者になってほしい」。かつての敵に最大限の敬意を表し、活躍を願った。(浜田 洋平)=終わり=

 ◆WBO世界フライ級タイトルマッチ(18年9月24日、愛知・武田テバオーシャンアリーナ) V3戦の木村と指名挑戦者の田中の対戦。初回から打撃戦となり、田中が2回に左フックでアゴを捉えてグラつかせた。終始打ち合いで、最終回は右の相打ちを連発。木村も驚異的なスタミナで応戦したが、田中の2―0判定勝ち。世界最速タイ12戦目で3階級制覇した。

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