•  スポーツ報知のWebサイト限定コラムがスタートしました。最前線で取材する記者が、紙面では書き切れなかった裏話や、今話題となっている旬な出来事を深く掘り下げてお届けします。皆さんを「ほーっ!」とうならせるようなコラムを目指して日々配信しますので、どうぞお楽しみください。

1・4東京ドームに鳴り響いたUWFのテーマ…金曜8時のプロレスコラム

2018年1月5日8時0分  スポーツ報知
  • 東京ドームのリングに登場した垣原賢人とビジョンに映った山崎一夫

 東京ドームで4日に行われた“プロレスのお正月”新日本プロレス「WRESTLE KINGDOM12」を取材した。3万4995人の観衆が熱狂し、CSテレ朝チャンネルでは、第1試合から生中継されたが、その前に行われた第0試合があった。ここのところ1・4の恒例行事となっている「1分時間差バトルロイヤル~ニュージャパンランボー~」があったのだ。

 シングルマッチからスタートして1分ごとに1選手が入場テーマに乗って登場してくる誰が飛び出すかわからないバトルロイヤル。昭和のプロレスファンにとっては、隠し玉のレジェンド選手が出てくるのが楽しみで、過去には、藤原喜明やザ・グレート・カブキらの入場テーマにぞくぞくとさせられてきた。

 今回はヤングライオンの北村克哉からスタートし、獣神サンダーライガー、4代目タイガーマスク、そして天山広吉が20番目に登場した時に、「あー、このレベルでもうレジェンドなんだな」とがっかりしていたら、21番目にUWFのテーマが鳴り響いた。テーテテテテテテ、テーテ、テテテというやつだ。

 放送席で解説していた山崎一夫さん(55)が、思わず立ち上がって、スーツの上着を脱いだが、違った。ダッグアウトから登場したのは、悪性リンパ腫(血液のがん)で闘病中の垣原賢人(45)だった。前田日明や高田延彦が出てくるはずがないことは承知しており、そこまで期待はしていなかったが、UWFのテーマがドームにこだましただけで、感慨深いものがあった。やはり空前のイベントだった1995年10月9日の新日本プロレスとUWFインターナショナルの全面対抗戦が思い出される。6万7000人超満員の熱狂がよみがえった。メインは武藤敬司VS高田延彦。再戦が翌年1・4の東京ドームだったから、あれから22年になる。メインのオカダ・カズチカVS内藤哲也の熱気はあの時とは異質ながらも、新しい時代にふさわしい心地よいドームの空気にマッチしていた。

 “UWF代表”の垣原は、最後は173センチ、62キロの小兵・チーズバーガーとの2人だけとなるタナボタ展開となり、掌底打ちからカッキーカッターで、32分6秒、片エビ固めで、優勝を飾った。試合中の事故で頸椎完全損傷で療養中の高山善廣(50)の支援Tシャツを着て試合に臨んだ垣原はマイクをつかみ「リングに戻って参りました。UWFの同志、高山選手にエールを送りたいと思います。タカヤマッ、東京ドームのリングに立ったぞ。オレだって回復できた。帝王なら必ず、必ず、必ず、克服することができる。オレはそう信じてる」と叫んだ。

 ともにUインターの一員として10・9対抗戦では勝利を飾っていた。大将・高田の敗北でUの負けを印象付けたが、垣原は佐々木健介を膝十字固めで、高山は飯塚高史を腕ひしぎ逆十字固めで破る大金星を奪っていたのだった(いずれも10分以内で)。その後、垣原と高山は、UWFの格闘技スタイルから、プロレスに融合していった。今の新日本プロレスは、それらを礎に格闘技を超えたマラソンのような死闘が展開されている。もうUWFスタイルが入る余地がないことだけは確かなようだ。ノスタルジーに浸るのは第0試合で十分なのだった。(酒井 隆之)

コラム
今日のスポーツ報知(東京版)
報知ブログ(最新更新分)一覧へ