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力の抜きどころを覚えた“練習の虫”伊藤有希が迎える2度目の正念場

2018年1月16日16時0分  スポーツ報知
  • 14日、女子W杯札幌大会で引き揚げる伊藤有希(カメラ・相川 和寛)
  • 14日の女子W杯札幌大会で1回目に87メートルをマークした伊藤有希(カメラ・相川 和寛)

 今月13、14日に行われたスキージャンプの女子W杯札幌大会。来月開幕する平昌五輪(韓国)でメダル獲得が期待される高梨沙羅(21)=クラレ=や伊藤有希(23)=土屋ホーム=らを取材するため、カメラマンの私は東京から取材に向かった。会場は札幌市にある宮の森ジャンプ競技場。昨年まで北海道支局で勤務していた私にとっては、毎年10数回も取材に訪れていた“思い出の場所”だ。関係者らと久しぶりの再会に会話が弾む中、伊藤に関して興味深い話を聞くことができた。

 土屋ホームスキー部で事務局長を務める岡本邦孝さんに、7位だった4年前のソチ五輪(ロシア)の時に比べて今の伊藤はどう変わったかを尋ねてみた。「あくまで私から見た感想ですが、一言で言えば『力の抜きどころを覚えた』ですかね」と岡本さん。伊藤はもともと“練習の虫”だという。納得いくジャンプが飛べるまで練習を繰り返し、チームの全体練習が終わってからも一人でランニングに出かける。過去には他競技からヒントを得ようとアルペンスキーを練習に取り入れるなどもしていた。4年前のシーズンも五輪でのメダル獲得を目指し、練習の日々。けがをすることは無かったが、肉体は悲鳴をあげていたという。岡本さんは「特に両太ももはパンパンの状態でした。周囲から見て、こんな状態ではソチ五輪で戦えないということになり、大会の1か月ほど前になんとか休養を取らせるなど練習量を減らして調子を合わせていた状態でした」と振り返る。結果は7位。少なからず、普段のオーバーワークが影響していたのかもしれない。

 練習に対する姿勢は今でも変わっていないというが、岡本さんは「以前よりもコーチやトレーナーの助言に耳を傾けて、自分で練習をセーブしたり、休養を取ったりするようになった」と語る。伊藤自身も「前回の五輪は初めてだったので何もかもが漠然としていた。五輪を1回経験しているというのは自分の中で大きなアドバンテージです」。夢舞台は4年に1度きり。2月12日の2本のジャンプにピークを持っていくことだけを考えている。

 今季の伊藤はW杯3位が最高成績。13、14日も4、5位と表彰台を逃し、5勝を挙げた昨季に比べると苦しんでいる印象を受ける。しかし、結果が出なくても悔しさをぐっと噛みしめる。自らを「世界一のプラス発想」と語る23歳が、これから逆襲ののろしを上げていくだろう。(記者コラム 写真部・相川 和寛)

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