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紀平梨花は「グッ」、浅田真央さんは「フッとやってキュッ」

2018年11月15日16時0分  スポーツ報知
  • トリプルアクセルを飛ぶ紀平梨花

 女子フィギュア界にニューヒロインが誕生した。11月10日、NHK杯の女子フリーでSP5位から6・58点差を逆転し、優勝したのは16歳の紀平梨花=関大KFSC=だった。今季からシニアに参戦し、GPシリーズのデビュー戦で金メダル。日本勢初の快挙を成し遂げた。

 軽々と跳ぶトリプルアクセル(3回転半)が武器。最初に成功させたのは16年で、世界で7人目だった。NHK杯のフリーでは、男子顔負けの加点3・09点を引き出す美しいトリプルアクセルを決めた。さらに、女子では世界でただ1人しか成功させていないトリプルアクセル―3回転トウループの超大技も跳んだ。ジャンプの技術は間違いなく、世界トップクラスだ。

 それでも銀盤から降りると、あどけない笑顔が輝く高校1年生。好きな音楽はAAAで、好きなテレビ番組はTBS系バラエティー「モニタリング」。料理が得意で、お菓子作りも「ほろほろっとしたクッキーを作ったりする」(母・実香さん)という本格派。ネイルは自分で塗るのが好きだという。

 そんな紀平にトリプルアクセルのコツを聞くと「跳ぶタイミングを意識して、なんか、グッて。足の先まで、なんか、グッて感じなんです(笑い)」。言葉では表せない、紀平にしか分からないタイミングがあるようだ。

 一方で、元世界女王の浅田真央さんも、トリプルアクセルのコツに対し、独特の表現を持つ。17年4月11日。浅田真央さんが引退を発表した翌日に愛知県の中京大に行った。取材に応じた18年平昌五輪銀メダルの宇野昌磨(20)=トヨタ自動車=は、「浅田選手には、トリプルアクセルのコツを教えてもらいました。『フッとやってキュッと』って言われて。真央ちゃんらしい言葉」。真央さんもまた、言葉では表せない、独自の感覚でトリプルアクセルを跳んでいたのかもしれない。

 トリプルアクセルを武器に五輪に2度出場、GPファイナル4度優勝、世界選手権3度優勝と、数々のタイトルを手にし、たくさんの感動を残してきた真央さん。そんな浅田さんの系譜を受け継ぐ紀平は、これから「憧れの浅田真央選手に近づけるように」と、世界に羽ばたいていく。次戦のフランス杯(23~25日)で表彰台に上がれば、GPファイナル(12月6~9日・カナダ)へとつながっていく。無限の可能性を秘めた16歳は、これから新たな歴史を築いていくだろう。(記者コラム・小林 玲花)

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