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どっちがモテる? W日本一の大阪桐蔭野球部とラグビー部

2019年1月9日16時0分  スポーツ報知
  • 松山千大主将を胴上げして初優勝を喜ぶラグビー部のフィフティーン
  • 昨夏の甲子園で春夏連覇を達成した野球部の根尾昂(中央)ら

 年末年始を挟んで開催された全国高校ラグビーは、大阪桐蔭が平成最後の王者に輝き、幕を閉じた。野球部との史上初の同年度アベック優勝。本当にすごい快挙だ。公立校出身の記者にとっては、同じ学校に日本一の野球部とラグビー部がある感覚がまず信じられない。そもそも野球部とラグビー部って一体どっちがモテるんだ…?ふと疑問に思い、決勝戦に応援に訪れていた同校の女子生徒を直撃した。

 数人に聞いた結果、全員答えは一緒だった。「野球部!」。みんな見事なぐらいの即答だった。「オーラが違う」「知名度があるから」「プロにいくから進路がすごい」。聞けば聞くほど魅力があふれ出す。どうやら夏の甲子園優勝以降は校内でも野球部ブームが過熱。ドラフト後に禁止されるまで、野球部のサインほしさに休み時間のたびに廊下に長い列ができていたという。ちなみにサインがダメになり、今は握手だけなら許可されているらしい。

 中でも人気なのは中日にドラフト1位で入団した根尾だ。そのフィーバーぶりにはロッテにドラフト1位で入団した藤原もスポーツ報知のインタビューで「学校での人気がすごい。『サイン書いてぇ~』っていうお願いがすごくて廊下に出られない」と証言しており、根尾も「トイレに行きたい時は我慢します」と話しているほどだ。

 ではラグビー部は?と聞くと、女子生徒からは「好きな子はいるかもしれないけど…」と苦笑いが返ってきた。しかし人気者の野球部と普段から仲の良いラグビー部も、甲子園での級友の活躍に刺激を受けてきた。「勝って当然」のプレッシャーに打ち勝ってきた姿にFB伴井亮太(3年)は「ほんまにすごい。自分たちも続けたら」と話し、センター松山千大主将(3年)も「プレッシャーがある中で結果を残している。そこを見習いたい」とリスペクト。綾部正史監督(43)も「ライバルじゃない。仲間のクラブ。応援していただいている」と強調し、野球部の西谷監督ともよく意見交換するなど、競技は違えどともに大阪桐蔭の顔となるため切磋琢磨(せっさたくま)してきた。

 決勝戦も、野球部に負けじと頑張ってきたラグビー部の魅力が存分に詰まった試合だったと思う。春の選抜決勝で負けた桐蔭学園と26―24の大激戦の末の勝利。前回大会準優勝の悔しさを晴らそうと、松山主将を中心に必死でゴールラインを目指すフィフティーンの姿はとても感動的だった。勝っても負けてもこれがこのチームでの最後の試合、そんな強い思いもひとつひとつのプレーから伝わってきた。

 試合前日の練習や試合以外の場はワイワイにぎやかで、あまりのにぎやかさに指揮官が「うるさくてスミマセン…」と集まった報道陣に謝るほど元気いっぱいな選手たち。アラサーの記者から見ればそんな「可愛い高校生」な彼らが、試合になれば目の色を変えて真剣な表情でプレーする。このギャップの威力はかなり強めで「カッコイイ!モテるでしょ!」と思わず“野球部派”の意見を覆したい気持ちになった。試合を見守った“野球部派”の大阪桐蔭女子たちの心にも同じように響いていることを祈るばかりだ。

 話を聞かせてくれた女子生徒は最後にこんなことを言った。「優勝したら、次はラグビー部がサイン攻めに遭うかもしれませんね」。念願の初優勝だ、甲子園で何度も優勝経験のある野球部を超えろ!とまでは言わないが、控えめに言ってももっと校内に“ラグビー部派”が増えていい。ラグビー部はもっとモテていい。ラグビーW杯が日本で開催される歴史的な年に、それだけ価値のある優勝を成し遂げたのだから。(記者コラム・筒井 琴美)

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