小関也朱篤が平3冠、暴力事件からキャリアの危機を乗り越えパンパシ代表つかんだ

スポーツ報知
男子200メートル平泳ぎで優勝した小関也朱篤(右)は、表彰式で北島康介氏から北島康介杯を渡され、笑顔を見せる

 ◆第94回競泳日本選手権 第5日(7日、東京・辰巳国際水泳場)

 男子平泳ぎの第一人者、小関也朱篤(やすひろ、26)=ミキハウス=が、200メートル平泳ぎも制し、昨年に続いて50メートル、100メートルとの3冠を達成した。後輩選手への暴力事件からの復帰戦に引退覚悟で臨んだが、宣言通りの3冠で家族に恩返しした。

 プールに浮かびながら、こみ上げてくるものを必死にこらえていた。ラスト25メートル。必死に水をかく小関の脳裏に、様々な思いが去来した。「無我夢中だった。五輪選考会以上に気持ちを強く持って泳いだ。ここで負けたら水泳を辞めてもいいぐらいの思いだった」。世界記録保持者・渡辺一平とのデッドヒートを制し、200メートルを4連覇。2年連続で3冠を手にし、しみじみと、言葉をつないだ。

 昨年12月にスペインで行われた代表合宿中、炊事当番に遅れた後輩へ暴力を振るったとして、約3か月の対外試合自粛処分を科せられた。夫人に事実を伝えると、返ってきたのは「今回の日本選手権でまた優勝できればいいんじゃない?」との言葉だった。「特に口を挟むわけではなく。(何かを)言われた方が楽だった」。気遣いが痛いほど伝わった。「家族が一番隣で支えてくれている。負けていられない」。全て日本記録での3冠を何度も公言し、自分を追い込んだ。相手の後輩には焼き肉をごちそうして和解した。「一緒に盛り上げよう」と、水に流した。

 これで、アジア大会とパンパシフィック選手権の代表権を獲得。「正直ホッとしたのは大きい。(ブランクは)言い訳にしたくなかった。家族には感謝の気持ちでいっぱい」。キャリアの危機を乗り越え、再びスタートを切った。

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