須崎優衣、残り25秒から大逆転代表切符「死に物狂い」

スポーツ報知

◆レスリング 世界選手権代表選考会・プレーオフ(7日、埼玉・和光市総合体育館)

 未定だったブダペスト世界選手権(10月20~28日)男女代表10階級を決めるプレーオフを実施。一連のパワハラ問題の影響から8年ぶりにプレーオフを行った女子は、五輪階級の50キロ級で、昨年世界女王で6月の全日本選抜選手権覇者・須崎優衣(19)=早大1年=が、昨年全日本選手権優勝の入江ゆき(25)=自衛隊=を6―4で制して2大会連続の代表切符を獲得した。0―4の第1ピリオド(P)から試合時間残り25秒で大逆転勝ちした。

 須崎は絶体絶命の窮地からの大逆転劇だった。「死に物狂いでした!」と満面の笑みが光った。第1Pは0―4と完敗。後がなくなった第2Pに、6得点を積んで最強ライバルの入江を撃破した。2点を奪い返して2―4の残り25秒に真骨頂が出た。入江に1減点の警告が入り3―4と詰め寄ると、高速タックルから背後に回って2点を追加し、ひっくり返した。

 中学1年の2012年から158勝2敗で、国内外の大会では常に表彰台の真ん中が常連だ。昨年の世界初制覇を含め無敵の19歳だが、唯一の黒星2つは昨年の全日本選手権決勝などで敗れた入江だけだった。直接対決は3勝2敗で、6月の全日本選抜選手権の決勝に続き、最強ライバルを返り討ち。19歳は「絶対、あたしが世界選手権に行くんだという強い気持ちがありました」と胸を張った。

 「残り30秒から大逆転勝ちを想定した」という“絶体絶命トレ”の成果が土壇場で出た。「最後は死に物狂いで放った」という伝家の宝刀のタックルで勝機を見いだした。

 五輪4連覇の伊調馨(ALSOK)に対する一連のパワハラ問題がきっかけとなり、疑義を払拭するため、女子は8年ぶりに実施されたプレーオフ(PO)でもあった。前回10年に女子はPOが実施されたものの勝者が選ばれず保留扱いに。混乱が起きたため11年以降は行われていなかった。

 一点の曇りなく代表切符をつかんだ須崎は「目標は20年東京五輪での金メダル。絶対2連覇する」と意気込んだ。(小河原 俊哉)

 ◆須崎 優衣(すさき・ゆい)1999年6月30日、千葉県生まれ。19歳。東京・安部学院卒。早大1年。中学時代は無敗。2014年に43キロ級、15年に46キロ級、16年に49キロ級で世界カデット選手権3連覇。48キロ級で16年の全日本選手権、17年のアジア選手権を初優勝。果物が好物でマスカットが大好き。今大会は果物4缶とゼリー6個を持参するなど海外遠征には欠かさない。153センチ。

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