吉田沙保里×三宅宏美「仲良し」レジェンズ豪華ぶっちゃけ対談
レスリングで五輪3大会連続金メダルの吉田沙保里(35)=至学館大職=と、重量挙げで16年リオデジャネイロ五輪銅メダルの三宅宏実(32)=いちご=が豪華対談。アテネ大会からリオ大会まで4大会を共にした大の仲良し。五輪を誰よりも知る2人が、五輪を語り、2020年東京五輪へ思いをはせた。(取材・構成=高木 恵、細野 友司)
―仲が良いですね?
吉田(以下、吉) 柔道の杉本美香ちゃんと3人ですごく仲良くて。ご飯行ったりするんです。
三宅(以下、三) リオ五輪が終わって、3人でディズニーランドにも行きましたよね。ディズニーのグッズの眼鏡して。
吉 すっげえ、がたいよすぎて、3人の。すぐバレちゃって(笑い)。
―最初の五輪が2人ともアテネで、リオまで4大会連続。
三 ウェートリフティングが大会前半でレスリングが後半なので、いつも現地で入れ違いなんですよ。
吉 宏実ちゃんが帰る日に私たちが到着で、今から試合だよみたいな。
三 ロンドンの時に選手村で、沙保里さんにタックルをしてもらったことがうれしくて。
吉 覚えてる、覚えてる。
三 もうそれが強烈にインパクト残っていて。高速すぎて。やっぱり速い! 速すぎる!って思って。
吉 あれで速いなんて言ったら、マットじゃスーパー高速よ(笑い)。
―互いをどう見ていますか?
吉 宏実ちゃんはもう、太陽みたいなね。ピカーンと明るくしてくれる。優しくて、人思いで怒らない。で、たまに天然が入るよね。
三 もう全部お返ししたい。
吉 私たちは親の教えがあって、競技は宿命だったから。いちずに頑張っていて素晴らしいと思う。
三 沙保里さんは、何か女性の強い神様みたいな。
吉 あはは!(爆笑)
三 太陽以上。いろいろな人に元気を与えてくださる。優しくて、全てがもう、みんなのお手本にしたい理想像。
吉 褒めすぎじゃない!?
三 いや本当に! アスリートとしても、女性としても尊敬しているスポーツ界の大先輩。
吉 ちょっと(涙を拭く)ハンカチ…。(メイクさんからお手ふきを渡され)これ口拭いたやつじゃん!(怒)
―女性アスリートの活躍が年々増えています。東京五輪も女子選手の活躍が期待されます。
吉 何でこんなに女性が強くなってきたのかなあって。スポーツだけじゃなくて社会もそう。働く女性もすごく増えて。同じ女性としてすごくうれしいし、励みにもなる。同世代の女性から「頑張っている姿を見ると私たちも元気が出ます」って言われると、力になれてよかったって。
三 同性で頑張っている姿を見ると、私も、って思います。
―頑張っている後輩女子アスリートも多いです。若手の台頭や突き上げをどう受け止めていますか?
吉 後輩も頑張ってうれしいなって、逆に私は思いますね。
―ライバルでも?
吉 昔は、ちょっとせっぱつまった感じ。自分が絶対代表になりたいっていう。(今は)余裕ができたよね、年とった分。ライバルはライバルでも同じ大学のライバルだから。奥野(春菜)はうちの道場(※父・栄勝さんの道場)の子だし。たとえ負けたとしてもそれで引退なら、逆にうれしいかなって。オリンピックに出させてあげたいっていうのもあるし。私なんか4回経験させてもらっているから。
―でも東京五輪ですよ。
吉 そう。東京っていうのが引っかかってるのかなって。東京じゃなかったら、宏実ちゃんもそうでしょう。『引退させていただきます』って言っていると思う。今の30歳超えた人は多いと思う。東京ってひと味違う。
―三宅さんは階級も変わりましたが?
三 むしろ下の子の方が体重が少ない子が多いので、伸びしろの大きい子が多い。徐々に上がってきたりしているので。
吉 まだ全然余裕でしょう?
三 今だと、競り合っているので、記録を元に戻さないと。でも、新鮮で頑張れるからいいのかなって。
―相乗効果ですね。
吉 多分私もそんな感じ。でもこんなずっとやってない私が、ちょこっと練習場に来てパカッと負けたりしたら悔しいと思いますよ。
―でもポロッとやっちゃうんですよね?
吉 ポロッと勝っちゃいますけど。でも取られたりもしますし、いい勝負。ずっと私が勝ってるわけじゃなく、たまに負ける時もある。まだ勝ててるのがすごいって自分で思うけど(笑い)。
―さすが霊長類最強女子。三宅さんは東京挑戦を決断するまで葛藤はありました?
三 意外と葛藤はなくて。12年(ロンドン五輪)が終わってからけがをいっぱいして、ウェートリフティングの練習をまともにできなかったので。最後くらいウェートリフティングという技術を完成じゃないですけど、納得してからやめたいというか、うまくなりたいという好奇心の方が今は強いです。最後くらいはちゃんと練習できて終わりたい。
―そこは別に東京だからということではなくて?
三 それもあります。可能性がある、狙える、というのと、まだいけるかなっていうのがあるから。
吉 そこがまだあるから絶対できるよね。気持ちが折れて「あの子強いし勝てっこない」っていうのがあったら出ないと思うんですよ。勝てる可能性があるから。東京だから。今まで4回も出てたらオリンピックのすごさも分かっているし。
―レスリングも重量挙げも、日本の女子選手がもっと増えていってほしい競技。東京五輪はチャンス。
吉 みんなに知ってもらうには成績を残すことが一番。生で見てもらうチャンス。日の丸をつけて勝って盛り上がってって、子供には分かりやすい。知ってもらえるチャンスだし、すごいと思ってもらえるチャンス。
三 子供たちがウェートリフティングに興味を持ったり、楽しいと思ってもらいたい。子供たちが夢を持ったり、キラキラしている顔を見るとうれしいなと思うので、底辺をもっと拡大したいです。それには今の選手が背中を見せないと。
―三宅さんから吉田さんに質問があるそうです。
三 ガクって落ち込んだりとかは?
吉 全然ない(即答)。
三 ぜ、全然なの~?
吉 みんな一緒じゃん。苦しいのは。えっ? どういうことで落ち込むの? わかんない。
三 沙保里さんは常に金メダルを期待されて、大変だと思うんです。練習やコンディショニングがすっと落ちてしまったりとか、ガクってへこんだりとかした時は?
吉 (ドヤ顔で)今日は調子悪い日だって割り切る。
三 かっこいい! メモ、メモ!
吉 ウェートリフティングは自分との闘い。宏実ちゃんの場合は、昨日持てたのになんで今日持てないんだろうってなる。絶対そういう日もあるから。一日一日全部1キロずつ上がっていたら大変なことになるよ。
三 (笑い)
吉 オンオフの切り替えが自然にできているのかな。小さい頃からやっているからかもしれないけど。自然とオンに入るし、オフに入るとレスリングの話はしない。恋愛だもんね。ハハハハ。楽しい~恋愛楽しい~。
―3人の女子会のメインは恋愛話?
吉 ほとんどそう。最近どうなの~?とか。
三 最高に面白いですよ。
―吉田さんの理想の高さについてどう思う?
吉 イケメン好きで有名よね。
三 沙保里さんが結婚するのは、どんな男性だろうってすごい気になります。沙保里さんの絶対条件は?
吉 だんだん…イケメンで探していたら絶対無理だなって思って。で、やっぱり面白い、一緒にいて場が盛り上がるというか、笑っていられる人がいいな。あとは優しい人。
三 私は目標に向かっている人がすごく好きで。キラキラして見える。こうなんか、すごくそのものに対して楽しんでいたりとか、そういう人がなんか、内からあふれるものっていうか、自分を持っている人が好きだなって。優しい人ももちろんですけど。
吉 顔は?
三 顔ですか? 笑いじわとかある人がけっこう好き。
吉 へえ~。すっごいあるよ私。ほら。あ、ただのしわだった(笑い)。
―三宅さんは東京挑戦を決めています。吉田さんは保留中。そろって5度目の五輪に挑戦?
吉 したい!
三 したいです!
吉 できるなら一緒に出たいよ、気持ちはね(笑い)。
三 オリンピックイコール、沙保里さん。オリンピックに沙保里さんがいないというのは信じられない。
吉 オリンピックおばさんみたいな(笑い)。オリンピックおじさんいるよね。どこにでも行ってるの。こういうの(五輪マーク)つけてさ。毎回レスリング会場にもいるよ。オリンピックおばさん、東京からスタートしようかな。スタンドで応援。選手じゃなくておばさんになってるよ!って(笑い)。
◆吉田 沙保里(よしだ・さおり)1982年10月5日、津市生まれ。35歳。三重・久居高、中京女大(現至学館大)卒。五輪は初出場の2004年アテネ、08年北京、12年ロンドンと3連覇し、16年リオは銀。趣味はゴルフ。12年に国民栄誉賞を授与された。157センチ、53キロ。
◆三宅 宏実(みやけ・ひろみ)1985年11月18日、埼玉・新座市生まれ。32歳。初出場の2004年アテネ五輪女子48キロ級9位。12年ロンドン同級で銀、16年リオ五輪同級で銅。父・義行さんは68年メキシコ市五輪フェザー級銅メダル、伯父・義信さんは64年東京、メキシコ市両五輪でフェザー級金メダル。147センチ。