渡辺一平、不調から復活の金 200平で大会新記録マーク「ホッ」

スポーツ報知
男子200メートル平泳ぎで優勝した渡辺一平(左)は、レース後に小関也朱篤と握手を交わす(カメラ・酒井 悠一)

◆競泳 パンパシフィック選手権最終日(12日、東京・辰巳国際水泳場)

 男子200メートル平泳ぎ決勝で、世界記録保持者の渡辺一平(21)=早大=が2分7秒75の大会新記録をマークして、国際大会初優勝を飾った。昨年末から故障や体調不良に悩まされてきたが、ようやく実力を発揮。東京五輪での世界記録更新と、金メダルを誓った。女子200メートル平泳ぎ決勝は鈴木聡美(27)=ミキハウス=が2分22秒22で銅メダル。主要国際大会でのメダルは同種目で銀を手にした12年ロンドン五輪以来6年ぶりとなった。

 193センチの長身を、目いっぱい伸ばした。渡辺が、縁遠かった主要国際大会の金メダルにたどり着いた。自身の持つ世界記録(2分6秒67)には及ばなかったものの、2分7秒75は大会新記録。「久しぶりの200メートルを楽しむつもりで頑張った。勝ててホッとしているし、めちゃめちゃうれしい」。最後のターンでは目をつぶるなど、ひたすら自分のレーンに意識を集中し続けた。

 昨年1月29日の東京都選手権で世界新をたたき出し、実力は疑いようがない。だが、ここのところ、どうにも受難続きだった。昨年末、体育の授業のバレーボールで右足首を捻挫。春先には左膝を痛めて4月の日本選手権に臨んだ。無事代表入りこそ果たしたが、欧州GP転戦から帰国した6月下旬から7月上旬にかけては、2週間ほど発熱が続いた。

 原因は疲労や猛暑にもあったが、水分をあまりとらないで練習するタイプだったのも災いしたという。「37度後半から38度の熱がずっと続いて。泳がなければいけないので、練習はしていたんですけど…」。体重は一時、ベストの80キロから77・5キロほどに減少。今は79キロ前後にまで回復したが、万全とは言い難い。

 ペットボトルでスポーツドリンクを飲み干してから練習に入るなど、工夫を凝らした。200メートルのレースは6月中旬の欧州GP最終戦(モナコ)以来。ほぼぶっつけ本番だった。

 平泳ぎ2種目で五輪2大会連覇の北島康介さんがインタビュアーとして登場。メールアドレスにイニシャルの「KK」を入れるほど尊敬するレジェンドから東京五輪への意気込みを問われると「僕自身の世界記録を更新したい。五輪記録も僕の記録(16年リオ大会準決勝での2分7秒22)なので更新したい」と堂々の記録&金宣言。さらに「後を託していいですか!?」と水を向けられ「頑張ります!」と素朴で力強いセリフ。大器が、2020年のヒーローに名乗りを上げた。(太田 倫)

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