いろいろありました…アジア大会開会式

スポーツ報知
日本とインドネシアの国旗を持って登場した日本選手団。旗手はソフトボールの上野が務めた

 ジャカルタ・アジア大会の開会式が18日、主会場のブンカルノ競技場で開催された。スタジアムに一歩入って、「え?」となった。フィールドに、高さ30メートルもあろうかという巨大な山のセットが鎮座していた。熱帯雨林や、滝もちゃんと作り込まれ、インドネシアの自然との調和をアピールした。幕開けは、米国のオバマ前大統領にそっくりで有名なジョコ・ウィドド大統領が、バイクのエンジンを吹かせてさっそうと登場。主要国際大会は4度目の取材になるが、間違いなく自分史上最高に度肝を抜かれたオープニングだった。

 開幕前は、心配ばかりしていた。今大会は、ハノイ(ベトナム)が財政難で開催を返上し、14年に開催が決定。準備期間が少なく、会場設営などで急場をしのいでいる感が否めない。この日も体操会場の設営が遅れ、日本の練習時間が6時間遅れになるドタバタ劇もあった。選手村には蚊が大量発生し、選手の安眠を妨げている。世界最悪とも言われる渋滞は交通規制で緩和しつつも、懸案の1つだ。細かい部分に目をつければキリがないが、大会の“顔”と言うべき開会式は十分に迫力を与えてくれた。

 取材を進める中で、困りごとは多い。競技の実施時間がいつの間にか変更になっていたり、会場の導線がコロコロと変わって迷ったり。会場と宿舎を往復するメディア用バスは、毎日経路が違って所要時間もまちまちだ。それでも「まあ、いいか」と思わせてくれるのは、間違いなく「人」の力である。宿舎に常駐する大学生ボランティアは、ロビーに立っているだけで「お手伝いしましょうか?」と寄ってくる。自分の片言の英語をくみ取ってくれて、一生懸命に意思疎通を図ってくれるのがありがたい。物を買うにも、笑顔であいさつ。コンビニ店員が機械のように無愛想な国もある。こういう一つ一つが、温かい。

 45の国・地域から1万1000人が参加する今大会。観客や報道陣、関係者を合わせた数万人が集まる。様々な背景を持った人がやってくるのだから、多かれ少なかれ、不都合は生じる。その中で、ホスト国の人々の対応1つで印象は大きく変わる。ほんの少しの思いやり、気配り。もてなしの心。それが国際大会成功の鍵だ。2年後の東京五輪でもホスト国の真価は試されると、改めて感じる。(五輪競技担当・細野 友司)

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