柔道・阿部一二三、2年後へ「今度こそオール一本V」 リレーコラム

スポーツ報知
男子66kg級の阿部一二三

 もうすぐ世界選手権(9月)が始まります。

 ここで2連覇すれば、東京五輪がグッと近づく大事な大会になると思っています。昨年は圧倒的な柔道で優勝できたんですけど、オール一本と言っていて、できなかった。そこの悔しさもあるので、自分の柔道をしっかり出し切って、昨年より進化した姿で2連覇を目指したいです。

 グランドスラム東京も優勝して世界選手権代表に内定したことで、この1年は準備期間が長い分、いろんな経験ができました。1月にはオーストリアとドイツへ武者修行に行きました。単身でいつもと違う環境でやりたいとすごく思っていて、きつかった部分もあったけど、それ以上に得るものがたくさんありました。

 いつも誰かが一緒で何かをしてもらっていたのが、ずっと1人でしないといけない。ホテルの手配やチェックイン、洗濯、練習や移動の時間を聞いたり。そういうのも大変だったので、いつも僕たちがやってもらっていることのありがたさを改めて実感できました。

 海外の選手の強さを知ったり、寝技の強い先生に技術を教えてもらうこともできた。内定したからこそ海外にも行けましたし、すごく幅は広がったと思います。

 世界チャンピオンという立場になって、相手が研究してきている、追われているなとすごく感じるようになりました。2連覇のプレッシャーもかかると思います。でも、7月のグランプリ・ザグレブ大会は準々決勝で負けてしまって、プレッシャーがなくなったわけじゃないですけど、少し楽になった部分もあります。

 敗者復活戦や3位決定戦をやってみて、自分の柔道をやれば絶対、誰にも負けないということも改めて感じました。逆にそれで少し自信がついたというか。収穫は相当多い大会だったんですけど、負けを生かせたと言えるのは世界選手権で勝ってから。優勝して、あの負けがしっかりプラスになったと証明したいです。

 ◆阿部 一二三(あべ・ひふみ)1997年8月9日、神戸市生まれ。21歳。6歳で柔道を始め、神戸生田中から神港学園高に進み、2014年に66キロ級で男子史上最年少の17歳2か月で講道館杯を制覇。日体大に進学した16年から全日本選抜体重別選手権、グランドスラム東京大会をともに2連覇。17年世界選手権は初出場で優勝。得意技は背負い投げ。168センチ。妹の詩(18)=夙川学院高=も世界選手権女子52キロ級代表。

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