角田夏実、ギックリ腰でも超激戦区52キロ級で金 鼻骨骨折はボールペンで治した!?

スポーツ報知

◆ジャカルタ・アジア大会 ▽柔道女子52キロ級決勝 ○角田夏実(腕ひしぎ十字固め=2分18秒=)朴多率(韓 国)●(29日)

 柔道女子52キロ級の角田夏実(26)=了徳寺学園職=が決勝で韓国選手を下し、金メダルを獲得した。国内でハイレベルな争いが繰り広げられる同階級で、2020年東京五輪へ存在感をアピールした。

 女子52キロ級には角田夏実もいる。昨年の世界選手権銀メダリストが、アジアの舞台で圧倒的な強さを見せた。決勝は開始31秒でともえ投げで技ありを奪うと、2分18秒に腕ひしぎ十字固めで一本勝ち。「絶対勝つって言われても難しいなと思っていた。プレッシャーもあったけど、勝ててホッとしてます」。直前には女子48キロ級の近藤亜美、男子60キロ級の志々目徹が決勝で敗戦。全階級で金メダルを目指したお家芸の重圧に打ち勝ち、白い歯を見せた。

 不屈の26歳だ。昨年は海外合宿中に鼻骨を骨折すると、自ら鼻の穴にボールペンを突っ込み、曲がった鼻筋を元に戻した。寄生虫「アニサキス」による食中毒など災難が続いた中、世界選手権初出場で銀メダルに輝いた。今大会も1週間前の22日にぎっくり腰を発症し、練習で追い込めたのは前日のみ。「おばあちゃんみたいなつえが欲しい状態で。何でこんな時に」と苦笑したが、「いつもこんな感じなんで。試合で痛くないようにできればいいと思った」と言ってのけた。

 52キロ級は超激戦区だ。昨年の世界選手権は志々目愛(24)=了徳寺学園職=と日本人同士で決勝を争い、この1年でホープの阿部詩(18)=兵庫・夙川学院高=が台頭。一方で、自身は世界2位の重圧から結果が残せなくなり、「(肩書が)重くて。柔道が楽しくなくなった」と思い悩んだ。

 吹っ切れたのは、今年に入ってから。4月の全日本選抜体重別選手権では志々目も阿部も破り優勝。国際大会の実績不足から“3番手”として回ったアジア大会で「勝たないと五輪に向けて(代表争いから)いなくなっちゃうのかなと思った。自分の存在をアピールできて良かった」。9月の世界選手権に出場するライバル2人に食らい付いた。

 ◆角田 夏実(つのだ・なつみ)1992年8月6日、千葉・八千代市生まれ。26歳。八千代高から東京学芸大に進み、2015年から了徳寺学園職。16年に講道館杯全日本体重別選手権、グランドスラム(GS)東京大会で優勝。17年はGSパリ大会、全日本選抜体重別選手権、世界選手権で2位。18年全日本選抜体重別選手権優勝。161センチ。

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