塚原夫妻で女子体操強化担うも千恵子氏の言動が選手の自立阻む…記者の目

スポーツ報知
指導を行う塚原千恵子氏

 体操女子の世界選手権(10~11月、カタール)代表候補で、2016年リオ五輪代表の宮川紗江(18)が29日、自身への暴力行為で日本協会から無期限登録抹消などの処分を受けた速見佑斗コーチ(34)に関する会見を東京都内で開き、処分軽減を求めた。速見氏の暴力行為は認めた上で、改めて師事を表明。処分を下した日本協会の意図を「コーチと私を引き離そうとしている」と述べた。塚原千恵子・女子強化本部長(71)の関与を指摘し「権力を使った暴力。パワハラだと思う」と告発した。

 女子体操は、64年東京五輪女子団体で銅メダル獲得以降、長期低迷が続いていた。74年に発足した朝日生命体操クラブは、その状態を打破しようと、塚原千恵子氏と夫の五輪金メダリスト・光男氏の二人三脚で、女子体操の強化を担ってきた。

 当時の日本では、クラブで体操の指導を行うことは少なく、苦境に立つ女子体操を塚原夫妻は必死に支えてきた。それは、もう一度、五輪でメダリストを輩出したいという一念に見えた。その結果、五輪代表を数多く輩出してきた。

 その一方で、歯に衣(きぬ)着せぬストレートな発言を何度も聞いた。それは、裏表のあるようには見えなかった。それと選手が自立していないようにも見えた。「先生の指導通りできて良かったです」。自分の意思をはっきりと言える選手はあまり見ることなく、それがメンタル面での弱さを感じる時も多かった。(編集委員・久浦 真一)

 ◆塚原 千恵子(つかはら・ちえこ)1947年8月12日、長崎県出身。71歳。元体操選手。68年メキシコシティー五輪に出場し、女子個人総合19位、女子団体は4位。70年世界選手権で女子団体4位。72年、体操男子代表で五輪3大会で5つの金メダルを獲得した塚原光男と結婚。現役を引退した。76年にモントリオール五輪女子代表のチームリーダーに就任。その後、現在まで女子の強化に携わっている。

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