宮川紗江、パワハラ逆告発 体操協会の塚原千恵子・女子強化本部長から「言葉の暴力」

スポーツ報知
会見の冒頭、立ったままで話す宮川

 体操女子の世界選手権(10~11月、カタール)代表候補で、2016年リオ五輪代表の宮川紗江(18)が29日、自身への暴力行為で日本協会から無期限登録抹消などの処分を受けた速見佑斗コーチ(34)に関する会見を東京都内で開き、処分軽減を求めた。速見氏の暴力行為は認めた上で、改めて師事を表明。処分を下した日本協会の意図を「コーチと私を引き離そうとしている」と述べた。塚原千恵子・女子強化本部長(71)の関与を指摘し「権力を使った暴力。パワハラだと思う」と告発した。

 報道陣100人を前に黒のパンツスーツで登壇した宮川は「ウソ偽りなく語ります」と切り出すと、約1時間半にわたり気丈に語った。

 日本協会に処分された速見氏の暴力行為を認めた上で、「私は訴えていないし、処分の重さは納得できない」と強く主張した。睡眠不足などの影響で練習に集中できないといい、世界選手権の代表候補の辞退も表明した。速見コーチには小学5年から指導を受けるが、1年以上前まで、頭をたたく、髪を引っ張るなどの行為を受けたという。それでも「何があっても一緒にやると決めている」と語った。

 塚原強化本部長を名指しにし、日本協会に対する強い不信感を口にした。「私とコーチを引き離そうとした。権力を使った暴力。パワハラだと思う」と主張した。その理由として、塚原強化本部長が、自身が監督を務める朝日生命体操クラブに引き込むために速見コーチの暴力問題を持ち上げたとし、「コーチを排除して、朝日生命の利益にするために引き離すことが、この問題(の背景)にある。強化本部長が大きく関わっていたことは間違いない」と言い切った。

 東京五輪強化プロジェクトに当初、参加しなかったことで、16年末に塚原強化本部長らから「このままだと五輪に出られなくなるわよ」などと圧力を受け、「恐怖を感じた」とも明かした。ナショナルトレセンの利用制限や海外試合への派遣を切られたなどの圧力も受けたとも。家族と処分の軽減を陳情した際には「『家族みんなでどうかしてる。宗教みたいだ』と言われた。終始、高圧的な態度を取られ、家族もコーチも否定された」。

 暴力問題が浮上した7月中旬には、塚原強化本部長と、夫の光男副会長に呼び出され、「繰り返し暴力行為を認めるように言われ、脅迫みたいだった」と明かした。「18年しか生きていませんが、人生で一番の勇気を出してここに立っています」と声を絞り出して告発を続けた宮川。速見コーチは、東京地裁に指導者の地位保全を求める仮処分の申し立てを行っている。

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