東京五輪新採用「柔道混合団体」で日本が初代王者!ルール理解しない韓国が抗議座り込みの場面も

スポーツ報知
井上康生 男子日本代表監督

◆ジャカルタ・アジア大会第15日(1日)

 2020年東京五輪でも新採用される柔道の混合団体で、日本が決勝でカザフスタンを4―0で一蹴し、初代王者に輝いた。初戦の準々決勝・韓国戦では3勝3敗となったが、一本勝ちが3対2で多い日本がポイントで上回って辛勝。この結果を巡って、釈然としない韓国チームが猛抗議し、一度は整列した選手が約10分間も畳に座り込む場面もあった。騒然とした空気を振り払い、日本が貫禄を見せつけて勝ち進んだ。

 日本が初代アジア王者の座についた。準決勝で中国、決勝ではカザフスタンに4―0のストレート勝ち。出場した8人のうち個人戦に出たのは玉置、新添の2人だけだったが、分厚い選手層で圧倒。女子の増地克之監督(47)は、「日本の底力を見せつけられた」。大会前に異例の男女合同ミーティング、決勝前には最年長28歳の海老沼を中心に円陣を組み、結束を高めてつかんだ金メダルだった。

 後味の悪さをものともしなかった。ヤマ場は初戦の準々決勝・韓国戦だった。事実上の決勝ともなったこの一戦で、日本は3勝3敗と苦戦した。しかし、反則勝ちを含め一本勝ちの数では3対2(もう1試合は技ありでの決着)とし、ポイントで上回ったことで、日本の勝ちが宣告された。

 しかし、ここから“延長戦”が待っていた。韓国チームは「コリア!」と叫んで勝利をアピール。敗戦に納得できない代表スタッフが運営側に食い下がり、日本が礼をして畳を下りても選手は6人全員が10分以上も畳に座り込むなど、不穏な空気が漂った。

 今大会の混合団体のルールで重要なのは2点。1つは、一本勝ちが10点、技ありでの優勢勝ちは1点と、明確に差別化されていること。もう1つは、今年改正された国際柔道連盟(IJF)のルールにのっとり、指導3つによる反則勝ちは全て「一本勝ち」扱いとなることだ。

 前日8月31日の組み合わせ抽選の際にも、この点は運営側から口頭で念押しされており、日本は選手にも説明して、周知徹底していた。対して韓国は、「技ありも一本も同じ勝ち」と考えていたか、「反則勝ちは一本勝ちとは別物」などと解釈していたとみられる。

 男子73キロ級の海老沼は、「あれはただ韓国チームがルールを知らなかっただけだと思う」。増地監督は「言葉の違いもあり、勘違いがあったんでしょう。(結果が)覆らなくてよかった」と、安堵(あんど)の表情を浮かべた。アジア大会ならではの混乱の余韻が尾を引く中、「君が代」が響いた。(太田 倫)

 ◆柔道混合団体戦 女子の57キロ級、70キロ級、70キロ超級、男子の73キロ級、90キロ級、90キロ超級から1人ずつ選手を選び、計6人が出場。アジア大会では女子57キロ級が一番手となり、男女交互に戦う。4分間で決着がつかない場合はゴールデンスコア(GS)方式の延長戦を行い、引き分けはなし。勝利数が並んだ場合、一本勝ちや指導3つによる反則勝ちは10点、優勢勝ちは1点とポイント化して比較。それでも勝者が決まらない場合は、抽選で選ばれた選手によるGS方式の代表戦を行う。世界選手権では2017年に初実施され、日本が優勝した。

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