キプチョゲ、衝撃の記録「信じられないくらいうれしい」 人類初2時間1分台

スポーツ報知

 ベルリン・マラソンは16日、ベルリンで行われ、男子は2016年リオ五輪王者のエリウド・キプチョゲ(ケニア)が2時間1分39秒の世界新記録で2連覇した。デニス・キメット(ケニア)が14年大会でマークした2時間2分57秒を1分以上短縮。日本勢最高は中村匠吾(26)=富士通=が2時間8分16秒で4位。女子はグラディス・チェロノ(ケニア)が世界歴代4位の2時間18分11秒で2連覇し05年大会で野口みずきがマークした2時間19分12秒の大会記録を塗り替えた。

 驚異的なタイムでゴールに飛び込んだキプチョゲは、喝采の中でガッツポーズを繰り返し、「このレースに十分に備えてきた」と胸を張った。気温12度、湿度85%と好条件がそろう中、序盤から3人のペースメーカー(PM)とともに、4年前に同じケニアのキメットが出した世界記録を上回るペースで飛び出した。PMが予定の距離を走れずに25キロ過ぎに脱落していくほどのハイペース。終盤はさらにペースを上げ、最後の1キロは笑みを浮かべるなど、余裕の表情で42・195キロを駆け抜けた。

 11度目のマラソンで優勝は10度。唯一の“負け”は13年のベルリンだが、当時世界歴代4位の記録で2位だった。念願の最速の称号を手にし「信じられないくらいうれしい」。マラソン強化戦略プロジェクトリーダーを務める瀬古利彦氏は日本陸連を通じて「気象コンディションは関係ない。すごいよ」とコメントした。

 高低差約20メートルと非常にフラットで、男子世界歴代10傑のうち上位7位までの記録が出ている世界屈指の高速コース。日本勢は中村が自己ベストを2分35秒更新し4位に食い込んだが、キプチョゲとは6分37秒差。設楽悠太(26)=ホンダ=の持つ日本記録(2時間6分11秒)とも4分32秒差があり、距離にすると約1・6キロ離されていることになる。20年東京五輪へ向けて暑熱対策が進められているが、陸連の河野匡・長距離マラソンディレクターは「我々にとってはショッキングな結果」と、異次元の記録に衝撃を受けていた。

 ◆エリウド・キプチョゲ 1984年11月5日、ケニア生まれ。33歳。男子5000メートルで03年世界選手権を制し04年アテネ五輪銅、08年北京五輪銀メダル。13年4月の初マラソンで優勝。同年のベルリン・マラソンで2位となったが14年からは無敗で、16年リオ五輪も制した。167センチ。

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