山県亮太、10秒01で3連覇 今季16レースで日本人には無敗

スポーツ報知
山県の10秒05以内

◆陸上 全日本実業団対抗選手権 最終日(23日、大阪・ヤンマースタジアム長居)

 男子100メートル決勝で、ジャカルタ・アジア大会銅メダルの山県亮太(26)=セイコー=が10秒01(無風)で3連覇を飾った。アジア大会決勝の10秒00に続き9秒台に肉薄。今季最終戦の福井国体(10月6日)で、桐生祥秀(22)=日本生命=が持つ日本記録(9秒98)の更新も視野に大台突破を狙う。社会人1年目で大会初参戦の桐生は10秒22で2位。

 山県はライバルの気配を感じなかった。「スーッと抜け出したのが分かった」。中盤以降は自分との闘いだった。気迫を出し、飛び込むようにフィニッシュした。「それで何かが変わるならと思った。また10秒00だったら悔しいので」。電気計時は10秒01。桐生に続く日本人2人目の9秒台まで、あと20センチ届かなかった。

 無風の条件も恨めしい。一般的に追い風が1メートル吹けば記録は0秒08ほど速くなるとされる。決勝で仮に0・3メートル前後の追い風が吹いていれば9秒台が出た可能性もあった。「悔しいけど、80~90点はつけていい走りだった。記録は神様が『(9秒台を)出して良いよ』と言うまで、自分は次へ頑張るしかない」と苦笑いするしかなかった。

 今季走った計16レースで日本人には無敗。10秒0台も3度目と、安定感が光る。仲田健トレーナーは「走った感覚から、客観的に問題点を抽出する能力が高い。自分で見つける課題の内容が的を射ているのが強さの秘密」と見る。アジア大会以来、加速局面に手応えをつかんでいるのも「うまく走ろうとすると余力を残しすぎる。(序盤で)スピードを出し切ることが必要」と気づいたからだ。今回もリアクションタイム(号砲への反応時間)が8人中最速の0秒116と抜群の飛び出しから伸び、序盤で桐生との勝負を決した。

 今季最終戦となる福井国体で、再び9秒台に挑む。桐生が17年日本学生対校で日本新を出した「9・98スタジアム」での開催。「桐生が出した、お墨付きのスタジアム。記録(9秒98)を超えられるように全力を尽くしたい」。9秒台突入と日本新樹立を同時達成する未来も、今の山県には描けている。(細野 友司)

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