浜田尚里、初出場でオール一本金…サンボと二刀流

スポーツ報知

◆柔道世界選手権第6日(25日、アゼルバイジャン・バクー)

 【25日=林直史】女子78キロ級で浜田尚里(28)=自衛隊=が初出場で金メダルに輝き、自らの誕生日を祝った。世界ランキング1位のフーシェ・ステーンホイス(オランダ)との9分23秒に及んだ決勝を指導3による反則勝ちで制し、オール一本勝ち。男子100キロ級で前回王者のウルフ・アロン(22)=了徳寺学園職=は準々決勝で一本負けし、3位決定戦も敗戦。日本は初日から男女とも出場選手全員がメダルを獲得していたが、15人目で途切れた。

 寝技の達人が初の大舞台で躍動した。浜田が必殺の寝技を主体に立ち技でも進化を見せ、決勝も世界1位との9分超の熱戦を反則勝ちで制した。この日は28歳の誕生日。「自分へのプレゼントになればいいなと思っていた。いい誕生日になりました」とはにかんだ。

 異色の経歴の持ち主だ。10歳で柔道を始めた。それまではピアノを習っていたが、鹿児島の実家に隣接するのが自衛隊の国分駐屯地。友人と一緒に、駐屯地内の道場に顔を出したことがきっかけだった。中学までは無名だったが、高校進学後に寝技の練習に取り組むようになると、「練習したら結構簡単にかかり始めた」と魅力にとりつかれた。

 寝技や関節技を主体とした独特のスタイルが磨かれたのは、山梨学院大4年の時だった。ロシア発祥で関節技主体の組技格闘技「サンボ」に触れ、「関節技、絞め技ができるようになった」と幅が広がった。柔道を中心に練習しながら、サンボでもユニバーシアードと世界選手権で金メダルに輝いた実績の持ち主だ。

 柔道とサンボの2種目で世界女王となる偉業も成し遂げた。「ちょっと狙っていたのでうれしい」。女子78キロ級は世界の層が厚く、国内の競争も混戦だ。自衛隊の3等陸尉は「まだみんな横一線。この後も勝っていかないと、次はないと思う」と足元を見据えた。

 ◆浜田 尚里(はまだ・しょうり)1990年9月25日、鹿児島県生まれ。28歳。国分南中学校、鹿児島南高校、山梨学院大を経て自衛隊へ。15年全日本選抜体重別選手権、講道館杯優勝。17年講道館杯、グランドスラム東京優勝。得意技は内股。167センチ。

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