山県、逆風10秒58でV 対日本人25戦無敗

スポーツ報知

◆福井国体第8日(6日、福井県営陸上競技場ほか)

 成年男子100メートル決勝で、18年ジャカルタ・アジア大会銅メダルの山県亮太(26)=広島・セイコー=が10秒58(向かい風5・2メートル)で優勝した。「9・98スタジアム」で桐生祥秀(22)=日本生命=に続く日本勢2人目の9秒台は逃したが、勝負強さは別格。17年7月から続く対日本勢の無敗記録を25レースに伸ばして今季を終えた。19年4月のアジア選手権、9~10月の世界陸上(ともにドーハ)が待つ来シーズンで、9秒台突入と日本記録更新に挑む。

 山県は思わず苦笑いした。今季最も遅い10秒58が計時されていた。「うわ、10秒5(台)か、と。スピードに乗っている感じがしなかった」。台風25号の影響で、5・2メートルの逆風が吹く悪条件下。それでも、2位の小池に0秒13の大差で完勝した。17年7月から続く対日本勢無敗記録も25レース(今季19)に伸びた。「自信になった。風にも負けない力強さは身についたと思う」。早朝から500人の列ができるなど、8500人が詰めかけた観客席に胸を張って応えた。

 「9秒台を出したかった思いはある」。8月のアジア大会で10秒00、9月の全日本実業団で10秒01。絶好調だった。桐生祥秀(日本生命)が昨年9月に当地で出した9秒98の日本記録更新を風に阻まれ、恨めしげだった。ただ、100メートルは風に左右されるのが常。「どういう風が、これからの大事な試合で吹くか分からない」。20年東京五輪は8月開催。台風で悪天候かもしれない。「前半でスピードをつくるイメージ。スタートで体が起き上がらないように、低く出ることを意識できた」。悪条件からも何か収穫を得ようと努められるのが、山県の強さだった。

 19年ドーハ世陸イヤーの来季は、序盤戦の目玉としてアジア選手権にも参戦する方針であることが分かった。最大2枠の代表は、近く正式に導入される世界ランキングで、アジア勢8位以内の日本勢最上位を最優先で選出。今季3度10秒0台を出した山県はこの条件を満たし、代表入り濃厚となっている。地域別選手権の同大会は欧米勢やアフリカ勢が不在の反面、世界ランク制の中で4番目に格付けが高い。表彰台に立ってランキングポイントを稼ぐ好機。さらにアジア大会で敗れた自己記録9秒91の蘇炳添(中国)が出てくれば、雪辱のチャンスにもなる。

 今大会は400メートルリレー(7~9日)にも出場。つかの間のオフを挟み、今月下旬から冬季練習を始める見込みだ。山県は「現状維持を意識すると、退化する。今がもう一皮むけるチャンス。この時期を乗り越えれば、大きな記録が待っている」。まだまだ速く、そして強くなる確信がある。(細野 友司)

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