三宅宏実「厳しさは愛情です」リレーコラム

スポーツ報知
三宅宏実

 世界選手権(11月1日開幕、トルクメニスタン)が近づいてきました。今回は49キロ級でスナッチ85キロ、ジャーク110キロの合計195キロを目標に臨みます。8月の関東大会で挙げた80キロ、105キロから、2種目ともにプラス5キロ。トレーナーさんと話して体づくりをしたり、体調に合わせてメニューを組んだり、うまく調整できています。東京五輪に向けた新階級で行われる世界選手権。誰がどれくらいの重量を挙げるのかを把握したいし、技術も勉強できたらと思っています。

 私は力はあるけど、特にスナッチの技術が下手くそだな、と思います。挙げる時の目線がほんの1、2ミリずれただけで、シャフトの軌道は全然違ってしまう。上半身と下半身もバラバラだし、今はまだ恥ずかしいスナッチですね。その点、中国の選手は理にかなっていて、お手本にしたいフォーム。私も、力だけじゃなくもっと楽に挙げられれば、記録が10キロは上がると自負しています。自分が納得できるフォームを作れるように、後輩に助言を聞くことだってもちろんありますよ。

 昨今、スポーツにおける指導のあり方がさまざまな議論を呼んでいます。スポーツ界に身を置く一人として、私なりの考えを話したいと思います。

 厳しさをどう受け取るかは、本当に人それぞれで難しい。この子は褒めて伸ばすタイプ、この子には厳しくと、見抜いて使い分けることが求められる時代かなと思います。私も口下手なタイプなので、言葉が足りなくて誤解されることもある。前に一度、インターネットでコミュニケーション講座について調べたこともあるくらい。会話を見直さないといけないし、指導者の意図を理解して選手に伝える第三者の存在がいれば、もっと円滑に進むのに、とも思います。

 私自身は、厳しさは愛情だと受け止めています。体重の数倍の重さのバーベルを扱うウェートリフティングは、一歩間違えれば選手生命や、命にだって関わる競技ですから。甘いことは、みんな言います。その中で、厳しい目線で追求してくれる人は、自分のことを本当に考えてくれている。最後の“あと一歩”を努力するために必要だと思うから、大事にしたいですね。

 ◆三宅 宏実(みやけ・ひろみ)1985年11月18日、埼玉・新座市生まれ。32歳。初出場の2004年アテネ五輪女子48キロ級9位。12年ロンドン同級で銀、16年リオ同級で銅。父・義行さんは68年メキシコ市五輪フェザー級銅メダル、伯父・義信さんは64年東京、メキシコ市両五輪でフェザー級金メダル。147センチ。

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