乙黒拓斗、初出場で金!乃木坂大好き日本男子史上最年少19歳が東京への階段駆け上がる

スポーツ報知
日本男子の五輪&世界選手権の年少金メダル

◆レスリング 世界選手権第2日 ▽男子フリー65キロ級準決勝 乙黒拓斗(15―10)チャカエフ(21日、ハンガリー・ブダペスト)

 【22日=高木恵】フリースタイル65キロ級決勝は初出場の乙黒拓斗(山梨学院大2年)がインドのバジランを16―9で破り、19歳10か月の日本男子最年少で金メダルに輝いた。高田裕司が1974年大会で樹立した20歳6か月を44年ぶりに更新。大好きな「乃木坂46」がパワーの源というイケメンが、2020年東京五輪の星に浮上した。57キロ級は昨年覇者の高橋侑希(24)=ALSOK=が3位決定戦を制して銅メダル。

 今年シニアの国際大会にデビューしたばかりの乙黒が、初出場で快挙を成し遂げた。決勝前夜に「超すつもりでいます」と狙いを定めた恩師の日本男子最年少V記録を塗り替える有言実行の金メダル。これまでの記録は在学する山梨学院大の監督で、76年モントリオール五輪フリースタイル52キロ級金メダルの高田裕司氏が74年大会で樹立した20歳6か月。初の10代世界王者が誕生した。

 前日(21日)の準決勝では、ロシアのアフメド・チャカエフを15―10で下し、雄たけびを上げた。普段は穏やかだが「レスリング中は人が変わるとよく言われる」。負けることが大嫌いで、信条は「攻めなきゃ勝てない」。第2ピリオド開始1分、豪快な両足タックルで4点を奪いひっくり返した。初めての舞台にも「会場はすごく広いけど、別に。何とも思わない」と自然体だ。

 快進撃のパワーの源は、こよなく愛する乃木坂46。練習漬けの日々の気分転換は、部屋にこもってYouTubeを見ることで「白石麻衣さんの笑顔に癒やされる」。練習後に5分映像を見るだけで元気は回復する。現地入りした日も、空港からホテルまでの移動中にネット生番組の「ショールーム」に見入って気持ちを高めた。「こっちに来てからもずっと聴いています」。マット上でのストイックさは一瞬にして消え去る。

 急成長の陰には努力があった。大学での授業の合間にトレーニングルームで練習を行うのが日課。今大会70キロ級代表の兄・圭祐は「努力の天才。あそこまではマネできない」と話し、高田監督も「あんな選手はいない。人の倍、練習する」と絶賛する。「東京五輪の2年前の大きな大会で、世界のいろんな選手と試合ができるのは楽しい」。新星は2020年へ精進を続けていく。

 ◆乙黒 拓斗(おとぐろ・たくと)1998年12月13日、山梨・笛吹市生まれ。19歳。4歳から山梨ジュニアレスリングクラブで競技を始めた。石和南小卒業後、JOCエリートアカデミーに入校。東京・帝京高時代の2014~16年に全国高校総体3連覇。15年には世界カデット選手権54キロ級で優勝した。17年に国体成年61キロ級を制し、今年6月の全日本選抜選手権65キロ級で初制覇。173センチ。

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