箱根で新伝説へ、青学が史上初2度目の3冠王手…全日本大学駅伝V、エース・森田MVP

スポーツ報知
ガッツポーズでゴールテープを切る青学大のアンカー・梶谷(カメラ・竜田 卓)

◆学生3大駅伝の第2戦全日本大学駅伝 (4日、名古屋市熱田神宮西門前スタート~三重・伊勢市伊勢神宮内宮宇治橋前ゴール=8区間106・8キロ)

 学生3大駅伝第2戦は、青学大が5時間13分11秒で2年ぶり2度目の優勝。箱根駅伝(来年1月2、3日)で史上初となる2度目の3冠へ王手をかけた。エース・森田歩希(ほまれ、4年)が7区で東海大を逆転しMVPを獲得。2位の東海大に2分20秒の大差をつけ、3大駅伝通算10勝目を挙げた。(天候曇り、気温15度、湿度92%、北北西の風3・0メートル=スタート時)

 今年の青学大は追いかけても強かった。7区、トップを走る東海大から11秒差で森田はタスキを受けた。「追いついて、ラスト5キロで仕掛けよう」。3キロ手前で自らと同じく主将を務める湊谷春紀(4年)に並び、動きを観察した。「呼吸も動きもキツそうだった」。一度先行して様子を探った。ついてこない。9キロ地点でギアを入れ替えて一気に突き放した。1分58秒の大差をつけて中継所に飛び込むと、思わずガッツポーズが出た。

 10月の出雲駅伝では左ふくらはぎを肉離れしながらも「痛みがある中、うまくまとめられた」と3区2位で完全優勝に貢献。1週間練習を中断していたが「プチ故障です」と負傷を言い訳にせず、再び役割を果たした。伊勢路では6区までトップに立てなかったが、原晋監督(51)は「追いつくまで時間がかかったけど、森田が仕事をしてくれた」と感謝した。

 史上4校目の学生駅伝3冠を達成した16年大会では、一色恭志(現GMOアスリーツ)らを擁し初優勝。森田も区間新記録に迫る好走で6区区間賞&MVPを獲得したが「一色さんたちがいるのに、自分がMVPをもらっていいのだろうか」と納得できなかった。それから2年。再び3冠を目指すチームを率い、逆転の立役者として獲得したMVPに「今回は胸を張って受け取れました」と笑顔を見せた。全日本優勝&森田MVPは、箱根で2度目の3冠へ吉兆だ。

 区間距離が大幅に変更となり、つなぎ区間となった5区・吉田祐也(3年)と6区・吉田圭太(2年)が連続区間賞。吉田祐は1万メートル、吉田圭は5000メートルでともに日本インカレ日本人トップを獲得し、他大学であれば主要区間に起用される実力を持つ。分厚い選手層ならではの配置で逆転をお膳立てした。箱根は全10区間が20キロ超だが、箱根に近い距離の7区(17・6キロ)、8区(19・7キロ)の合計タイムもトップで、隙は全くない。

 これまで7度出場で優勝1度だった“鬼門”を突破し、原監督は「メラメラ大作戦、大成功です!」と高らかに宣言した。それでも森田は「今回走っていない選手も力は十分ある」と断言。今大会は出雲駅伝6区2位の竹石尚人(3年)らが温存された。2か月後の箱根路へ、絶対王者の勢いが加速した。(太田 涼)

 ◆メラメラ大作戦 原監督は「出雲駅伝を勝ったが、それで満足している場合ではない。チーム全員がメラメラと燃えています」と命名。自身は中京大出身でスタート地点の名古屋は思い入れのある地。開幕前には「早速、名古屋名物の激辛台湾ラーメン『味仙』に行ってきました。鼻血が出ました。さらにメラメラしていますよ」と笑っていた。

 ◆森田 歩希(もりた・ほまれ)1996年6月29日、川崎市生まれ。22歳。父・桂さんが監督を務めていた国学院大陸上部の選手寮で生まれる。茨城・御所ケ丘中3年時に5000メートルで14分38秒99の日本中学記録(当時)樹立。2015年、竜ケ崎一高から青学大社会情報学部に入学。箱根駅伝は2年4区2位、3年2区1位。趣味は温泉巡り。家族は両親と妹。169センチ、53キロ。

スポーツ

×