防衛大勢16年ぶり箱根出場へ、残り2枠へ古林潤也「チャンス」

スポーツ報知
関東学生連合入りを果たした防大・古林潤也

 折れない心と忍耐力で箱根路へのチャンスをつかんだのは防衛大4年の古林(こばやし)潤也だ。厳しい生活規範の中で走り続け、予選会個人168位。関東学生連合16番手に滑り込んだ。出場すれば防衛大勢としては2003年に関東学連選抜で出場した岡本英伯以来、16年ぶりとなる。自衛官としてパイロットを目指す男が飛躍を誓った。(取材・構成 太田 涼)

 規律。規範。古林が4年間で鍛えたのは走力だけではない。培った精神力で予選会ハーフマラソンは1時間5分29秒と、自己記録を1分29秒短縮する快走をみせ、学生連合チーム入り最後の切符をつかんだ。

 「(箱根駅伝は)夢の世界だし、とてもレベルの高い大会。出場できるチャンスをいただけたのはうれしいですね」

 きょうだいが5人と多いため、両親に「一人で自立しないといけない」と勧められ、生まれ育った徳島・鳴門市を離れ、学生寮が併設された岐阜・麗沢瑞浪中に進んだ。中高一貫校で陸上に打ち込み、高2時には3000メートル障害で東海新人陸上2位。今となっては不思議な縁もあった。

 今回、学生連合を率いるのは麗沢大・山川達也監督だが、「実は当時、系列校の麗沢大でコーチをしていた山川さんに声をかけてもらっていたんです。ただ、どうしても自衛官になりたくて…。こうして最後に同じチームで監督と選手として箱根に挑めるのはうれしいです」。

 2歳上の兄・史也さんも箱根駅伝出場を目指して駒大に進学。けがもあり競技は3年時までしか続けられなかったが、古林も大舞台への憧れは増していった。

 「自分が頑張れたのは強豪校で走った兄のお陰。自分は常連校ではない大学を選びましたけど、いつか兄を超えたい、と思って走り続けてきました。防大を選んだのは、ドラマ『空飛ぶ広報室』を見て自衛官に憧れたのがきっかけです。そこからいろいろ調べて、航空自衛隊で戦闘機パイロットになりたくて」

 入学後1年間は一般教養中心に学び、2年時からはパイロットの基礎知識などを勉強する航空宇宙工学科に進んだ。中高6年間を寮で過ごしたが、防大の生活はレベルの違う厳しさがあったという。

 「授業も訓練も“仕事”。1日のスケジュールはきっちり決まっているし、1年生の時は忙しくて『こんなに自分の時間がないんだ』と感じたこともありました。でも、過ごしていくうちに慣れてきたというか、精神的に強くなったなって実感できました」

 朝6時起床、以降は清掃、点呼など全員が同じスケジュールで動く。そのため、朝練習は起床前の朝5時から行い、6時35分の朝食で合流。講義を受ける際の移動は、部隊行動の基礎を習得するために整列し「課業行進」で教室へ向かう。

 「8限目が終わって、16時40分から練習をします。夕食、点呼、2時間半の自習時間を経て就寝です。8人部屋で生活していますが、学年も部活もバラバラなので、いろいろな刺激をもらったりしながら頑張れています」

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