文田健一郎、圧倒的に勝つ…左ひざ負傷から5か月ぶり復帰戦

スポーツ報知
U―23世界選手権で本格復帰するレスリング男子グレコローマン60キロ級の文田

 昨年のレスリング男子グレコローマン59キロ級世界王者で、韮崎工OBの文田健一郎(22)=ミキハウス=が、12日に開幕するU―23世界選手権(ルーマニア)の60キロ級に出場する。5月に左膝内側の靱帯(じんたい)を痛め、世界選手権連覇を逃したが、文田は9日までに、5か月あまりのブランクを経ての復帰戦に「誰が見ても勝ち、という圧倒的な戦いをしたい」と気合十分。2020年東京五輪の代表選考レース初戦となる12月の全日本選手権(20日開幕、駒沢体育館)につながる勝利を誓った。

 前世界王者が、待ちこがれた復帰戦に気持ちを高めた。2日から都内で行われた直前合宿で、マット上で軽快な動きをアピールした文田。「(左膝は)大丈夫。まだ感覚は完全に戻っていないが、しっかり勝ちきり、結果を残したい」と話した。

 5月、練習中に左膝の靱帯を負傷。半月後の全日本選抜選手権を欠場し、世界選手権出場を逃した。4月からミキハウスに所属し、社会人としてスタートを切った直後の悲劇。「社会人として、まず結果を出さなきゃと思っていた時期だったので、本当につらかった」と振り返る。

 負傷直後は落ち込んだものの、指導陣や家族、友人の励ましで「東京五輪で金メダル」という目標を改めて思い起こした。上半身のトレーニングから始め、スパーリングでは、得意の反り投げを左右どちらからでもかけられるよう動きを見直すなど、攻撃の手数を増やした。U―23で優勝する事はもちろん、先に見据えるのは同級の先輩・太田忍(24)=ALSOK=と争う全日本選手権だ。

 「太田さんに勝たなければ、東京五輪に出ることすらできない。U―23ではいい感触をつかみ、全日本では、見ている人みんなが『文田は強い』と思うような圧倒的な技で勝ちたい」と文田。まずは同世代で世界一となり、復活の一歩を記す。(大津 紀子)

 ◆文田 健一郎(ふみた・けんいちろう)1995年12月18日、韮崎市生まれ。22歳。小5からレスリング場に通い、韮崎西中で本格的に競技を始める。父・敏郎さんが監督を務める韮崎工では高校グレコ選手権で史上初の3連覇。日体大4年の昨年8月、世界選手権男子グレコローマン59キロ級を制し五輪、世界選手権を通じ日本人のグレコ最年少王者となった。今年4月からミキハウス所属。168センチ。趣味は写真とプロレス観戦。

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