池江璃花子「本当にビックリ」100バタフライ世界女王ショーストロムに“初勝利”

スポーツ報知
女子100メートルバタフライで優勝し、テレビカメラに向かってポーズを決める池江璃花子(カメラ・相川 和寛)

◆競泳W杯東京大会 最終日(11日・辰巳国際水泳場)

 池江璃花子(18)=ルネサンス=が100メートルバタフライ決勝で自らのタイムを0秒33短縮する55秒31の短水路日本新記録を叩き出し優勝した。リオ五輪金メダリストのサラ・ショーストロム(スウェーデン)が55秒56で2位。東京五輪の最大のライバルに対し、短水路(25メートルプール)ではあるが“初勝利”。2年後の大一番へ向けて、自信となる金星をつかんだ。

 しなやかな池江のストロークが、追いすがるショーストロムの影を振り切った。自身の日本記録を0秒33も更新する驚異的な伸びを見せ、55秒31でフィニッシュ。「まさか勝てるとは思わなかった。サラ選手が前半から出てこなかったので、(この後の)100の自由形にためているのかなと思ったけど、勝てたことには変わりないので、すごくうれしい」。短水路とはいえ、勝負は勝負。女王は、池江に視線を送ることなくプールから去った。

 前半50メートルはわずかに先行を許したが、最後のターンで逆転した。優勝インタビューでは無邪気にガッツポーズ。「とにかく自分のテンポを落とさずに、と泳いだ。勝てると思ったのは最後の5メートル」。初のガチンコ勝負は16年リオ五輪決勝。世界新で金メダルを獲得したショーストロムに、池江は1秒38差の5位と敗れた。それから2年、あこがれの人より、初めて早くゴール板を叩いた。

 10月にトルコで合同練習が実現。自由形では力の差に涙を流すこともあったが、バタフライは互角の力を示した。25メートルで争うバタフライ3本勝負があった。1本目に池江が勝つと、2本目以降は一気にショーストロムがギアを上げて連勝。「サラがこんなに頑張るのを見たことがない」とコーチが驚いていたという。そしてこの日。池江に背を向けた姿は、完全にライバルと認めた証しだろう。

 今大会は100メートル個人メドレー、50メートルバタフライを含め1勝2敗。「イケエは素晴らしいレース展開だった。次で挽回したい」と絶対女王も脱帽した。池江は「すごく自信になったかと言えばそうでもない。あとは自分の努力次第」。次の勝負の舞台は来年7月の世界選手権(韓国・光州)。目指す頂は、もちろんまだ先にある。(太田 倫)

 ■池江璃花子に聞く

 ―どんなことを意識したか。

 「前半から積極的にいくことと、最後はきつかったが、できる限りテンポを落とさないようにしようと」

 ―“初勝利”の意味は。

 「サラ選手も自己ベスト(54秒61の短水路世界記録)にはほど遠いので。状態も全く分からないし、普通に泳いだらサラ選手の方が全然速いと思う。あまり気負わず、変な緊張感もなく、いい状態で臨めたのがいい結果につながった」

 ―トルコの合宿の成果は。

 「(サラの)スプリント(短距離)が改めて速いと思えたし、自由形も速かった。でも、バタフライではそこまで大きな差はないと感じていたので」

 ―勝利の実感は。

 「本当に初めて勝ったんですけど、実感が全然湧かないというか。五輪へ向けて、どんどんお互い切磋琢磨(せっさたくま)していければいいと思います。正直今まで全く勝てる自信がなかったので、本当にビックリ」

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