楢崎明智が複合初制覇　欠場兄の分も「若さの力で」ライバル圧倒　

◆スポーツクライミング　アジア選手権　最終日（１１日、鳥取・倉吉体育文化会館）

　２０年東京五輪で実施される複合の男女決勝が行われ、女子で野口啓代（２９）が初代女王に輝いた。３種目の総合力で争う種目で、スピード４位の出遅れからボルダリング、リードで巻き返して逆転勝ち。女子は日本勢が表彰台を独占した。男子は楢崎明智（めいち、１９）＝ＴＥＡＭ　ａｕ＝が初制覇。ともに五輪出場枠がかかる来年８月の世界選手権（東京・八王子）切符をつかんだ。

　１８６センチの大型クライマー、楢崎明が複合も制した。「若さの力で勝ちました！　若いってのは有利ですね」。スピードで自己ベストタイムの２位、９日に優勝した得意種目のボルダリングでは１人だけ全４完登の１位でライバルを圧倒。最後のリードも２位で終えた。

　今年の世界選手権５位の兄・智亜（ともあ）は１６９センチと小柄ながらバランス感覚に優れた登りが武器だが、３歳年下の弟はリーチが１９０センチある長い手足と繊細な足さばきが特長だ。ライバルが苦戦した難関をひょいと手を伸ばしてクリア。観客の声援に発奮しすぎて腕と太ももをつるピンチも乗り越えた。体調不良で欠場した兄から「俺がいないんだから優勝しろよ」と激励された。ともに目指す東京五輪へ「ちょっとはトモといい勝負ができるかな。来年の世界選手権までにちゃんと強くなっておかないと」と意気込んだ。

　◆複合種目　スピード、ボルダリング、リードの順で３種目の総合力を競う。スピードは、世界共通の高さ１５メートルの設定ルートを登りタイムを争うスプリント種目。リードは制限時間内で高さ１２メートル以上の設定コースの到達高度を競う。ボルダリングは４つの課題（コース）での完登数で勝敗を決める。日本はボルダリングではＷ杯の年間国別ランキングで５年連続１位になるなど突出した力を持つが、他の２種目では欧州勢らに後れを取っている。