アーティスティックスイミング・乾友紀子、最大のテーマは「あざとさ」…リレーコラム

2018年11月17日12時0分  スポーツ報知
  • 乾友紀子

 今の私が最大のテーマとしているのは「あざとさ」です。好感度や好印象はあると言ってもらえますが、それだけではジュニアで勝てても、シニアになったら勝てません。アーティスティックスイミングは個性のぶつかり合い。世界での戦いに割って入るために、時にはあざといほどの表現力も必要とされるのです。

 ウクライナにアンナ・ボロシナという選手がいます。17年世界選手権ソロの銅メダリストですが、彼女はあざとい。技術的なことは私の方が得意だけれど、ボロシナ選手は極端に言えばあざとさだけで泳いでいる感じ…真逆のタイプです。

 ちょっとした動きや意識の工夫で、あざとさを表現することはできます。振り付けの先生に教わりながら練習していますが、一つ例を挙げると、相手に強い視線を送るときに目で見るだけではなく、自分の後ろ側に意識を持ってくる。そうすることで隙がなくなって、より強い視線になる、というのです。確かに映像で見比べたとき、自分自身の見え方が全く違いました。

 アーティスティックスイミングは、競泳のように1回のタイムで勝負が決まる種目ではありません。会場に入った瞬間から強そうなオーラを出すことや、本番に至るまでに自分たちをいかに売り込むか、が大切な要素です。1回の試合で点数が出なくても、後々映像などが出回ったりしたとき「日本はこれから良くなるんじゃないか」という印象付けを何回も何回も積み重ねて、ようやく認められるところがあります。

 欧州での大会が多いので、欧州の選手は審判などにもよく特長を知られています。日本の選手はそれに比べて名前を売る機会が少なく、1回のチャンスを大事にモノにしなければなりません。「あざとさ」を本当に身につけられたときには、大きなアピールの武器になると思っています。

 ◆乾 友紀子(いぬい・ゆきこ)1990年12月4日、滋賀県生まれ。27歳。12年ロンドン五輪はデュエット、チームとも5位。16年リオ五輪ではともに銅メダル。09、11、13、17年世界選手権代表。滋賀・近江兄弟社高―立命大出。井村アーティスティックスイミングクラブ所属。芦屋大職員。170センチ、53キロ。

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