池江璃花子、東京五輪「金」を自由形でも!リオ五輪銅メダル相当タイムの日本新

スポーツ報知
大会の女子MVPに選ばれトロフィーを笑顔で掲げる池江(カメラ・森田俊弥)

◆競泳 北島康介杯(18日、東京・辰巳国際水泳場)

 池江璃花子(18)=ルネサンス=が100メートル自由形で、自身の記録を0秒24塗り替える52秒79の日本新記録で優勝した。2016年リオ五輪では銅メダルに相当する好タイムだった。東京五輪のプレシーズンとなる今季、初めての長水路(50メートルプール)の大会でいきなりの記録達成。得意の100メートルバタフライだけではなく、自由形でも世界上位に食い込む力があることを証明した。五輪本番へ、さらに期待が膨らんでいく。

 ため込んでいた力を解放した。ラスト25メートル。池江が2位以下を体2つ分もぶっちぎった。100メートル自由形で日本人として初めて53秒の壁を破る52秒79の日本新記録。「前日悔しいレースだったので。絶対いい記録で泳ぎたい気持ちだった。まさか2秒7(52秒7台)とは」。4月の日本選手権決勝でマークした53秒03を、一気に0秒24も短縮した。

 悔しいレースとは、17日の800メートル自由形。専門外の長距離だが、10人中最下位に終わり、負けん気に火がついた。この日はレース前、近い関係者に予告した。

 「やりますよ。ニュースになりますよ」

 シナリオが完璧にハマった。「75メートルまで力をためる」。前半に強さを見せる海外選手と互角に戦うため、普段は積極的に飛ばす展開を意識する。だが「記録を狙う上では、レースプランを考えなくては」と、あえて後半重視で臨んだ。「初めの50メートルは気持ちよく、少し頑張る程度。ラスト25メートルでスパートをかけるプランが、イメージ通りにできた」。リオ五輪では銅メダル相当、金へも0秒09差という好タイムを叩き出した。

 五輪のプレシーズンは10月に開幕。標高2000メートル超の高地を想定した低酸素ルームで練習前に30分エアロバイクをこぐメニューを取り入れた。長水路の本格的なトレーニングを始めてからまだ1週間ほどだが、馬力は確実にアップした。「力を出し切らずに終わった。あと5メートルくらいは泳げたかな」。こともなげに言い、報道陣をのけぞらせた。

 11日のW杯東京大会の100バタで、短水路とはいえ最強のライバルであるS・ショーストロム(スウェーデン)に初勝利。100自では「世界のトップと離されていると思っていたけど、少しずつ近づけている」と胸を張った。自身が16年1月に初めてこの種目の日本新(53秒99)を出した時は世界記録(当時)と1秒92差。今回で1秒08差。成長の速さが数字にも表れる。

 あの北島康介氏の名を冠する大会で、100バタを含め2冠に輝き、女子MVPの50万円と日本新の10万円、計60万円のボーナスをゲットした。「賞金? 貯金します」と無邪気に笑った18歳。北島氏のように、五輪史に名を刻む日が来るかもしれない。(太田 倫)

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