決勝チケット完売のフェンシング全日本選手権 客の大半はフィギュアファン

スポーツ報知
日本フェンシング協会の太田雄貴会長

 日本フェンシング協会は5日、全日本選手権(6日開幕)の前日会見を予選会会場の東京・駒沢体育館で行い、昨年会長に就任した元五輪メダリストの太田雄貴氏(33)が、決勝戦(9日)のチケットが40時間で完売したと明かした。

 昨年にLEDを用いたライティングなどで演出しエンタメ化に成功。太田改革の第2弾として、今年はさらにエンタメ化を加速する。決勝戦会場には初めて「東京グローブ座」で実施することを決めた。ネットテレビの「Abema TV」で初めて生中継も行う。

 6日から8日の予選(駒沢体育館)は無料で、決勝戦のみ有料の設定。昨年は平均で1500円だった決勝戦チケットは、今年は平均5000円で約700枚を9月1日に発売したところ「40時間で完売しましました」と太田会長。会長に就任する前年は150人だった観客が、昨年は1500人と10倍に。客層として太田会長は「フィギュアのお客さんからの流入が多いと聞きました。クオリティーの高さへの期待だと思います」と明かした。

 ビジュアルにこだわり、大会プログラムやポスターに使用される写真は写真家の蜷川実花氏(46)が撮影した。太田会長の直談判に快諾して、10月に女子選手の東晟良(せら、19)と男子の見延和靖(31)をモデルに撮り下ろし、芸術級のスタイリッシュな出来栄えに。「美」にこだわった演出を期待するフィギュアファンのハートをつかんだようだ。

 演出面でもさらにパワーアップする。昨年の6倍となる資金調達に成功し、今大会から初めて「心拍数の可視化」を導入。腕時計型のメーターを付けて試合を行い、モニターに数値を公開するという。2020年東京五輪の国内選考の前哨戦ともなるだけに白熱の戦いは必至。選手の心拍音も効果音として会場に流す。さらに「応援の熱量を可視化する」試みとして観客の声援も数値化してモニターに流すという。

 さらに「太田は悪趣味と言われるかも知れませんが、ジャッジにも心拍計をつけます。きわどい、難しいジャッジが場面でどういう裁定がされるのかお客さんも感情移入できる仕掛けになってます。格闘ゲームというかeスポーツのような感じかな」と話した。

 五輪本番の演出は、東京五輪・パラリンピック組織委員会、国際オリンピック委員会(IOC)が行うが、国際フェンシング連盟の理事を務める太田会長は「国際連盟としてもいろいろとアイデアを出せると思う」と語った。

 全日本選手権では初めて優勝賞金を出すことも決めた。1位のみ「10万円」で、他競技に比べれば少額だが、観客数が150人だった一昨年と比べれば「少額でも出せることになったことが大きい。最終的はもう1ケタ載せられたら、選手のモチベーションにもなる。最高の運営をしたい」と語った。

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