植草歩、個人組手で史上初4連覇!3年連続2冠「オールマイティーな植草と言われたい」

スポーツ報知
女子個人組手で史上初の4連覇を果たして喜ぶ植草歩(カメラ・矢口 亨)

◆報知新聞社後援 第46回全日本空手道選手権大会最終日(9日、日本武道館)

 男女の個人戦が行われ、2016年世界選手権金メダルの植草歩(26)=JAL=が、女子組手で単独最多の4連覇を果たした。千葉代表で出場した前日の団体と合わせて3年連続の2冠。男子組手は香川幸允(ひでよし、31)=テアトルアカデミー=が、5年ぶり2度目の優勝。男子形は喜友名諒(28)=劉衛流龍鳳会=が7連覇、女子形も清水希容(25)=ミキハウス=が6連覇を飾った。

 植草が数々の挑戦者を退けた。決勝は上段突きで2点を先行。残り3秒、逆転を狙って向かってきた相手の顔をめがけてカウンターを突き刺した。3―0で前人未到の4連覇。「11月の世界選手権(の決勝)で負けて苦しくて、苦しくて、本当に考えた1か月。今年の改革だった」と声を震わせ、悩んだ日々を振り返った。

 技術や精神面のコーチ、栄養士、分析担当らと「チーム歩」を結成し、全員でやるべきことを共有した。トレーナーも小言のように課題を指摘。「言わなくていいから! 知ってるから!」。心の中で反論した。昔から「胸が痛くなる。消したいくらい」と、負けた映像は見ない。でも、今回だけは素直になってみた。涙を流す自分の映像を見つめ、「空手が雑になっていた」と、課題が浮き彫りに。目を背けていた基礎に立ち返った。

 この日の朝には、帝京大の香川政夫師範(63)に声をかけられた。「王者なんだから、王者の組手をしなさい。せこい空手をするな」。自信を持つ中段突きを仕掛け、相手が迫って来ればカウンターで返り討ち。5試合で1点も許さず「打倒・植草」を掲げる選手たちをはね返した。

 来年1月のプレミアリーグ・パリ大会で新シーズンが始まる。得意なカウンターに加え、自ら仕掛ける攻撃も向上中。蹴り技は「苦手」と言い切れる。「一本の道がバーって見えた。オールマイティーな植草と言われたい」。1年半後の東京五輪金メダルへ、もう逃げることはない。(浜田 洋平)

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