体操宮川問題 第三者委員会は塚原夫妻のパワハラ認めず 職務停止処分を解除

スポーツ報知
塚原千恵子氏

 日本体操協会は10日、2016年リオ五輪代表の宮川紗江(高須クリニック)をめぐるパワハラ問題についての第三者委員会の報告書を公表した。

 塚原千恵子氏による宮川と速見コーチの引き離し行為は「認められない」とし、今年7月15日の塚原光男、千恵子両氏による宮川へのパワハラ行為についても「配慮に欠け不適切な点が多々あったとはいえ、悪性度の高い否定的な評価に値する行為であるとまでは客観的に評価できない」とした。

 パワハラ行為を認定しなかった調査報告書に基づき、日本協会は10日に臨時理事会を開催。今年9月10日から塚原夫妻が受けていた職務の一時停止処分を解除。塚原光男氏が副会長、千恵子氏が強化本部長の職に戻ることが決まった。

 第三者委員会はパワハラの定義について「同じ組織(競技団体、チーム等)で競技活動をする者に対して、職務上の地位や人間関係などの組織内の優位性を背景に、指導の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与え、又はその競技活動の環境を悪化させる行為」を一応の前提として、単に「一般的常識的に不適切」ということにとどまらず(不適切なことに関して非難されるべきことは当然としても)、違法性を帯びるものや各組織。団体において懲戒や懲罰の対象ともなり得るような、悪性度の高い否定的な評価に値する程度のもの(これはすなわち「社会通念に照らし客観的見地から見て、通常人が許容し得る範囲を著しく超えるもの」ともいえる)という概念を前提として、認定した。

 【宮川が主張した塚原夫妻のパワハラ】

 ◆五輪に向けたプロジェクトへの参加を辞退すると、強化本部長から電話で「五輪に出られなくなるわよ」。海外大会に派遣されず、NTCの利用も制限された。

 ◆塚原夫妻に部屋に呼ばれ、「(速見コーチの)暴力はあったよね?あったよね?家族みんなでどうかしている、宗教みたいだ。私なら速見の100倍教えることができる。あのコーチはだめ。伸びない」。

 ◆朝日生命への引き抜き行為。塚原夫妻と近い人物から「宮川と速見コーチがセットで(朝日生命に)こないか」など、計3回。

 ◆速見コーチの暴力について、強化本部長が複数のコーチを呼び出し『「暴力を見たといいなさい」と迫った』と聞いた(宮川)。

 【宮川紗江を巡る経過】

 ▽8月15日 日本協会が宮川に暴力を振るったとして速見コーチに対する処分を発表。

 ▽同29日 宮川が会見し、塚原夫妻からパワハラを受けたと逆告発。

 ▽同30日 日本協会がパワハラ問題対策について緊急会議を開き、第三者委員会設置を決定

 ▽同31日 塚原夫妻が代理人を通じて見解を発表。パワハラを指摘された言動を完全否定。

 ▽9月2日 塚原夫妻が代理人を通じて宮川に謝罪する声明文を発表。

 ▽同5日 速見コーチが都内で会見。宮川への暴力行為を謝罪。

 ▽同7日 第三者委員会が発足する。

 ▽同10日 日本協会が、塚原夫妻の一時職務停止を発表。

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