塚原夫妻のパワハラ認めず…第三者委員会が調査結果報告、職務停止を解除

スポーツ報知
一連のパワハラ騒動に関して会見で頭を下げる日本体操協会・山本専務理事(左)と遠藤常務理事

 体操女子で、16年リオ五輪代表の宮川紗江(19)=高須クリニック=が、日本体操協会の塚原千恵子女子強化本部長(71)と夫の光男副会長(70)からパワハラを受けたと主張した問題で、日本協会は10日、臨時理事会後、都内で会見した。第三者委員会の調査結果を報告し、パワハラ行為はなく、塚原夫妻が運営する朝日生命への引き抜き行為も一切、認められなかったとした。塚原夫妻に科していた一時職務停止の解除も発表された。

 社会問題にまで発展した塚原夫妻による“パワハラ疑惑”は認められなかった。この日夜の記者会見で、日本協会の山本宜史・専務理事は無数のフラッシュを浴びながら第三者委員会の調査結果を発表。大きく分けて、2つのパワハラ疑惑について報告した。

 〈1〉「朝日生命への引き抜き行為」は、宮川に対して暴力をふるっていた速見佑斗コーチから引き離そうとした行為ではないとされた。当時すでに複数人から速見コーチの暴力の目撃情報があったため、引き抜きと認定されるまでの行為ではないとされた。

 〈2〉「宮川に対する様々な言動について」については、塚原夫妻の発言内容は、配慮に欠ける不適切な点はあったとされたものの、悪性度の高い決定的な問題とはできないとし、客観的にパワハラと評価されないとした。

 第三者委員会の報告を受け、日本協会は臨時理事会を開催。塚原夫妻の一時職務停止の解除が決定した。同理事会に出席した光男氏は副会長への復帰に意欲を示しているが、千恵子氏は復帰を保留中だ。結果は宮川にも伝えられ、遠藤幸一常務理事は「(宮川の父は)『女子体操界が早くいい方向に行ってほしい』と真っ先に言っていた」と話した。

 第三者委員会の報告書には、協会に対しても「協会と各所属団体のコミュニケーション活性化」「強化体制の透明化」「コンプライアンス体制の確立」など提言が記されていた。提言をどのように生かしていくのか検討する「提言事項検討委員会」と、パワハラ以外の問題点や、今回の騒動を再検証する「特別調査委員会」を設置し、引き続き調査を続ける。山本専務理事は「東京五輪に向けて体操競技が信頼回復するためにも、提言内容に取り組んでいかないと先がない。二度と起こらないように、協会一丸となって取り組んでいく」と誓った。

 具志堅幸司副会長(62)は、問題が発生した際に「(体操界の)全部のうみを出す」と表現している。塚原夫妻のパワハラ疑惑については、一区切りがついたが、今後の調査で、風通しのいい組織づくりが求められることになる。

 ◆体操のパワハラ問題の経過

 ▼8月15日 日本協会が宮川に暴力を振るったとして速見コーチに対し、無期限登録抹消などの処分を発表。

 ▼同29日 宮川が会見し、速見コーチからの暴力はパワハラと感じていないと説明。塚原夫妻からパワハラを受けたと主張=写真=。

 ▼同30日 協会が第三者委員会設置を決定。

 ▼同31日 速見コーチが指導者としての地位保全を求める仮処分の申し立てを取り下げ、処分を受け入れる考えを表明。一方で、塚原夫妻が代理人を通じて宮川の主張の一部を否定。不適切な言動や落ち度が一部であったことは認める。

 ▼9月2日 塚原夫妻が代理人を通じて宮川に謝罪する声明文を発表。

 ▼同5日 速見コーチが都内で会見。宮川への暴力行為を謝罪=写真=。

 ▼同7日 第三者委員会が発足する。

 ▼同10日 協会は第三者委の調査結果を受け、理事会の判断が出るまで塚原夫妻の一時職務停止を決定。

 ▼12月10日 第三者委はパワハラ行為を認定せず、協会の臨時理事会で塚原夫妻の一時職務停止を解除。

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