日本人2人目のNBA選手・渡辺雄太、20年東京五輪への特別な思い

スポーツ報知
尽誠学園高時代の渡辺(左)と笠井康平(右)(Miho Awokie提供)

 10月27日のサンズ戦で田臥勇太(38)以来、日本人2人目のNBAデビューを果たした渡辺雄太(24)がスポーツ報知の取材に応じ、20年東京五輪への思いを語った。日本代表の救世主として1976年モントリオール大会以来の五輪出場を目指すエースの素顔を、父・英幸さん(60)、尽誠学園高の色摩拓也教諭(45)、同高で先輩の笠井康平(25)=名古屋D=が明かした。(構成・小林 玲花)

 NBAのコートに立つという夢をかなえた渡辺に新たな目標が見つかった。東京五輪だ。「まだ日本代表が参加できるか分かりませんが、NBA選手として自国開催の五輪に参加できるチャンスはめったにありません。自分自身も期待してますし、その舞台に立てるようアメリカでより成長しないといけない」と明かした。

 以前までは五輪に関して「正直なところ、意識したことはありませんでした」と話していたが、目の前に迫ったチャンスに「特別な思いがある」と気持ちが変わった。五輪はNBA同様、世界のトッププレーヤーが集結する大舞台。日の丸を背負って「これまでお世話になった方にコートでのプレーを見せて恩返しがしたい」と強い思いを抱くようになった。

 NBAグリズリーズの下部チームに所属しながら一定期間昇格が可能な「ツーウェー契約」を結び、デビュー戦では2得点2リバウンドと堂々のパフォーマンスを発揮。下部リーグでは2ケタ得点を奪うなど、チームの中心的存在として活躍する。「以前よりは着実に(世界との差は)近くなっていると思いますが、まだまだ課題は山積みというのが正直なところ。NBAのコートは肉体面でも精神面でも成長していかないと戦っていくには難しい舞台」と慢心は全くない。

 08年北京五輪でアルゼンチン代表を銅メダルに導いた日本代表のフリオ・ラマス監督(54)は渡辺を「代表で必要不可欠な選手」と絶賛する。昨年12月に米国で初めて生で見て「代表にいないといけない選手だ」と確信。9月13、17日のW杯アジア2次予選で初めて代表に招集した。格上のイラン戦では前半だけで14点奪った相手エースを、後半から渡辺がマークすると7点に封じ込めた。

 攻撃でも多彩なシュートで18得点。「彼のディフェンスは日本で一番だと思う。リバウンドにも貢献できシュートもうまい。何かに特化した選手じゃなく、全てを高いレベルでこなす万能型の選手」。予選は米国でプレーする八村塁(20)=ゴンザガ大=とのコンビで2連勝に導いた。

 バスケに向き合う姿勢も評価し「彼を見ていると本当にバスケが好きだという気持ちが伝わってくる。次の五輪は今と比べものにならないくらい成長した選手になるだろう。彼がいることでチームが良くなることは間違いない」と期待を寄せている。

 19年W杯(中国)出場を目指す日本代表は開幕4連敗の崖っ縁から渡辺や八村、日本国籍を取得した211センチのファジーカス・ニック(33)=川崎=が加入し、6連勝で出場圏内の3位に浮上。長年の弱みだったインサイドが補強され、3人の加入後1試合平均のリバウンドは33・25本から39・83本へ、得点は70・5点から85・5点に上がった。残り2試合に渡辺、八村の招集は厳しいが、W杯に出場できれば再びそろい踏みする可能性が高い。

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