宮川紗江、塚原夫妻と一時休戦…体操パワハラ主張したいけど競技に集中

スポーツ報知
競技に集中する意向を示した宮川紗江

 体操の塚原千恵子強化本部長(71)と光男副会長(70)によるパワハラ疑惑が第三者委員会でパワハラと認められなかったことに対し、16年リオ五輪代表の宮川紗江(19)=高須クリニック=は、新たに主張しない方向であることが12日、分かった。宮川の代理人の山口政貴弁護士が明かした。

 パワハラ認定されなかった直後、「信じられない。びっくりしている」と話した宮川。第三者委の調査結果に疑問を抱き、11日の時点では近日中にも自らの主張を書面で示す考えだった。この日、山口氏は「宮川選手が今は体操に集中したいという思いを強く持つようになった」と説明。山口氏によると、宮川の父親も第三者委の調査結果に違和感を持ち、「紗江の言っていたことは正しいと主張したい」と話していたという。それでも宮川はしばらく静観する考え。今後は日本体操協会が新たに設置する予定の、パワハラ騒動を再検討するための「特別調査委員会」の結果を見て判断するといい、8月下旬から長期間続いたパワハラをめぐる争いは“一時休戦”状態となった。

 宮川は、問題が発生した8月下旬頃から11月上旬にかけて、様々なクラブを転々としながら練習を続けてきた。しかし11月中旬頃に、宮川を指導する速見佑斗コーチ(35)が現役時代に所属していた徳洲会体操クラブ(神奈川)と契約に至った。練習拠点が固まったことで、2020年東京五輪に向け、本格的に再スタート。次に行われる国内大会は、個人総合で争われる19年4月の全日本選手権(群馬・高崎アリーナ)。宮川は現在、速見コーチと二人三脚で週6日、練習に励んでいる。

 ◆宮川巡る経過

 ▽8月15日 日本協会が宮川に暴力を振るったとして速見コーチに対する処分を発表。

 ▽29日 宮川が会見し、塚原夫妻からパワハラを受けたと逆告発。

 ▽30日 日本協会がパワハラ問題対策について緊急会議を開き、第三者委員会設置を決定

 ▽31日 塚原夫妻が代理人を通じて見解を発表。パワハラを指摘された言動を完全否定。

 ▽9月2日 塚原夫妻が代理人を通じて宮川に謝罪する声明文を発表。

 ▽5日 速見コーチが都内で会見。宮川への暴力行為を謝罪。

 ▽7日 第三者委員会が発足。

 ▽10日 日本協会が、塚原夫妻の一時職務停止を発表。

 ◆第三者委員会の調査結果

 ▽朝日生命への引き抜き行為 宮川に対して暴力を振るっていた速見コーチと引き離そうとした行為ではないとされた。当時すでに複数人から速見コーチの暴力の目撃情報があったため、引き抜きと認定されるまでの行為ではないと判断。

 ▽宮川に対する様々な言動について 塚原夫妻の発言で「五輪に出られなくなるわよ」「(家族そろって)宗教みたい」など配慮に欠ける不適切な点はあったとされたが、悪性度の高い決定的な問題とは判断できないとされた。

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