【箱根への道】東洋大・今西、今度は俺だ!「人間じゃねえ」青学大・小野田に雪辱

スポーツ報知
壮行会後、並んでポーズをとる東洋大メンバーの(前列左から)今西、相沢、山本、小笹、中村、小室、(後列左から)鈴木、田中、大森、大沢、浅井、酒井監督、マネジャーの中尾、石川

◆東洋大 前回2位(17年連続77回目)、出雲2位、全日本3位

 2014年以来の覇権奪回を目指す東洋大は13日、都内の白山キャンパスで壮行会を行った。前回6区5位の今西駿介(3年)が雪辱に燃えている。前回は小野田勇次(青学大4年)に逆転を許し、レース直後にテレビ中継で「人間じゃねえ」とコメントしたことが話題に。今回は自身が人間離れした走りで山を駆け下り、鉄紺のタスキをトップでつなぐことを誓った。

 「人間じゃねえ」の名言から1年。今西は「正直、最後の3キロは本当にきつくて、あまり覚えていません」と前回の6区を振り返る。往路優勝を果たし、36秒のアドバンテージを持ってスタートしたが、15キロ付近で小野田に突き放されて52秒差をつけられた。「別次元でした」。圧倒的な力の差を見せつけられ、青学大の4連覇を止められなかった。

 悔しさをバネに駅伝男は進化した。宮崎・小林高時代からトラックレースより駅伝で好走。「考えるよりも本能というか、野性の勘で走ります。ハイペースで突っ込むのが持ち味」。3年連続で出場した全国高校駅伝をはじめ、東洋大入学後に走った学生3大駅伝(4レース)も全て区間10位以内。「攻めの走りは東洋大らしさでもあります」と今季は出雲駅伝5区区間賞、全日本大学駅伝3区4位。目立ちたがりな性格とは裏腹に、安定感は群を抜く。

 憧れの先輩の活躍も刺激になっている。2日の福岡国際マラソンではOBの服部勇馬(25)=トヨタ自動車=が2時間7分27秒の好記録で優勝し、東京五輪代表選考レースMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)出場権を獲得。同じ治療院に通っている今西には「次はお前がやってくれよ」と連絡が来たという。「恐縮というか、おそれ多いです。でも、その期待に応えないといけない」と気合十分だ。

 酒井俊幸監督(42)は「この1年間で頼もしい選手に成長してくれた」と太鼓判。今西も「昨年の自分よりもひと回り強くなっている。58分台でまとめたいですね」と前回から30秒以上の上積みを狙う。「今回は小野田さんとの差を少しでも縮められるように、自分が“人間じゃなくなる”つもりで」。さわやかな笑顔でリベンジを誓った。(太田 涼)

 ◆今西 駿介(いまにし・しゅんすけ)1997年8月29日、宮崎・高原町生まれ。21歳。小学生時代は野球少年で投手。高原中で本格的に陸上を始め、小林高では全国高校駅伝5区6位、3区4位、3区6位。2016年、東洋大経済学部に進学。自己記録は5000メートル14分8秒91、1万メートル29分17秒37。172センチ、55キロ。父・俊郎さんは東農大1年の86年大会で9区11位。

 ■戦力分析

 10年連続3位以内の安定感と攻めの走りを貫く鉄紺魂は健在。出雲、全日本と優勝こそ逃したが、常に上位で戦える存在感を示した。前回の経験者8人がエントリーされているのも心強い。

 酒井監督は「7区終了時点でトップなら二重丸。6~8区をどう耐えるか」と復路序盤を課題に挙げる。6~8区に絶対的な自信を持つ青学大に対抗できる戦力を残しつつ、前回同様に往路では貯金を作りたい。

 今西は前回、上り適性を見いだされ、上りもある6区に起用されているが今回は5区の可能性もある。今季、駅伝で元気がない西山の復調もカギになる。

 ◆東洋大 1927年創部。箱根駅伝には33年に初出場。優勝4回(09、10、12、14年)。出雲駅伝は優勝1回(11年)。全日本大学駅伝は15年に初優勝。タスキの色は鉄紺。長距離部員は選手38人、学生スタッフ6人。主な陸上部OBにタレントの故・植木等さん、「2代目・山の神」と呼ばれた柏原竜二さん、100メートル日本記録保持者の桐生祥秀ら。

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