吉田沙保里さん、羽生結弦とあるぞ「金」リレー…東京五輪聖火ランナー候補

スポーツ報知
14年、国立競技場のイベントで聖火台に点灯する吉田さん

 レスリング女子で五輪3連覇を果たし、8日に引退を表明した吉田沙保里さん(36)が10日、2020年東京五輪の聖火ランナーの有力候補に浮上した。吉田さんはこの日、都内のホテルで会見を行い、引退の経緯などを説明。東京五輪には日本代表の精神的支柱として尽力する意向を示した。日本オリンピック委員会(JOC)幹部は、吉田さんが東京の聖火ランナーに適任との考え。ニッポンを象徴するアスリートとして、晴れ舞台が用意される可能性が出てきた。

 1年半後に迫った東京五輪で、吉田さんに大役が委ねられる可能性が出てきた。この日、都内で引退会見を行い「レスリングはやり尽くした」と晴れやかな表情を見せた。選手としては出場はかなわなくなったものの、2020年への思い入れは人一倍強く持ってきた。「来年は東京五輪、自国開催ということで、盛り上げていけたら」と意欲的に語ったが、早くも聖火ランナーの一人として名前が挙がった。

 JOC幹部の1人は「吉田さんは国民にも愛されているし、実績からいっても当然名前は挙がるでしょう」と、強く推薦した。五輪に4度出場し3連覇と、銀メダル1つ。国民栄誉賞にも輝いた。多くの感動をもたらし、五輪とは切っても切れない縁で結ばれている。老若男女に名前が浸透しており、自国開催の熱気を高める意味で吉田さんほど適任もいない。

 聖火ランナーの詳細な人選はこれからとはいえ、五輪組織委幹部も「スポーツセレブリティーの参加はお願いすることになると思う」と、知名度の高いアスリートの参加を歓迎している。東京五輪の開会式は20年7月24日に新国立競技場で行われ、吉田さんは最も注目度の高い開会式当日やリレー最終盤への出演も浮上する。走者候補にはフィギュアスケートで五輪連覇の羽生結弦(24)=ANA=らの名前も挙がっており、夏冬の金メダリストの豪華リレーが見られる可能性もありそうだ。

 一方、日本レスリング協会からは、東京でヘッドコーチ格としてセコンドにつき、選手をバックアップすることを熱望されている。これまで代表で選手兼任コーチを務めてきた吉田さんも、もちろん指導者としての仕事が本線となる。

 吉田さんはこの日の会見で、「全日本(代表チーム)もコーチ、選手たちも頑張っているので、精神的な支えになったらいい。コーチ陣はたくさんいるので、その中でも特に精神的な支えをできたらいい。(セコンドは)コーチとしての経験が全然ないので、迷惑かけない程度に協力できたら」と、東京へ向けたビジョンを語った。アスリートとして第一線を走り続けてきた霊長類最強女子。東京は、その功績にふさわしい晴れ舞台となる。

 ◆東京五輪の聖火リレー

 ▽採火 20年3月12日に古代五輪の聖地・オリンピアの遺跡、ヘラ神殿跡(ギリシャ)で採火され、同国内を8日間リレー。3月20日に航空自衛隊松島基地(宮城)に空路で到着し、25日まで宮城、岩手、福島の東日本大震災被災3県で順に展示される。

 ▽期間とコース 「Hope Lights Our Way(希望の道を、つなごう)」をコンセプトに全国47都道府県を巡る。20年3月26日に福島県を出発。栃木、群馬、長野と移動し、7月7~9日に46道府県目となる埼玉県内をリレー。最終47番目となる開催地の東京都には7月10日に入り、開幕の24日まで2週間かけて都内を回る。

 ▽聖火ランナーの選定 全ての人々を対象に選考。各都道府県やスポンサーが選考した候補者を含む全てのランナーを組織委が取りまとめ、国際オリンピック委員会(IOC)の承認を経て正式に決まる。具体的な選考基準や人数などは、今年中に公表される見込み。

 ▽最終ランナーの候補 開会式で行われるリレーの最終盤は、各界で功績のある著名人が務めることが多い。太平洋戦争からの復興がテーマだった64年東京五輪の最終ランナーは、原爆が投下された1945年8月6日に広島で誕生した坂井義則さん。東日本大震災からの復興がテーマの今大会は、宮城出身で平昌五輪で2連覇したフィギュアスケート男子の羽生結弦らが候補に挙がっている。

 ◆吉田 沙保里(よしだ・さおり)1982年10月5日、三重・津市生まれ。36歳。久居高―中京女大(現至学館大)卒。3歳で競技を始め、04年アテネ、08年北京、12年ロンドンで五輪3連覇を達成。16年リオ五輪は銀メダルを獲得した。世界選手権では20歳だった02年大会で初優勝し、15年まで13連覇。12年に五輪、世界選手権を合わせ、史上初の13大会連続「世界一」でギネス世界記録に認定され、国民栄誉賞を授与された。01~08年に119連勝をマーク。身長157センチ。家族は母と兄2人。

スポーツ

×