【東京で再び輝く〈3〉】体操・加藤凌平、今年のテーマは「欲を出さない」

スポーツ報知
あん馬の演技を終えガッツポーズの加藤凌平

 日本は16年リオデジャネイロ五輪で史上最多41個のメダルを獲得。女子レスリング48キロ級金の登坂絵莉(25)=東新住建=、体操男子団体金の加藤凌平(25)=コナミスポーツ=は五輪後、波に乗れない時期を過ごした。20年東京大会で復活を目指すメダリストの思いに迫る。

 エース・内村航平(30)=リンガーハット=、床の世界王者・白井健三(22)=日体大=らとともに、リオ五輪で一番高い表彰台に立った加藤がもがいている。リオ後、白井と同じ96年生まれの若手が続々と台頭。加藤は大きなミスがなかったものの、全日本選手権で17年9位、18年12位、NHK杯は17年8位、18年15位にとどまり代表入りを逃した。

 代表活動のない期間に体を基礎からつくり直し、あん馬などでは新たな技の習得にも挑んだが、なかなか結果に結びつかない。「下の勢いはすごいですけど、僕もまだ東京で動ける年齢。経験を生かして、東京五輪では代表に入っていく」と燃える一方で、ネガティブな感情とも闘っている。「小さい頃からの『五輪で金メダル』という夢がかなってしまった。何か違ったモチベーションの持ち方を探し続けたい」。次なる目標を模索している段階だ。

 東京五輪の団体メンバーはリオから1人減って4人。現代表の内村、白井らに加え、18年ユース五輪5冠の北園丈琉(たける、16)=大阪・清風高=ら、さらに下の代も頭角を現し、代表争いはし烈を極める。加藤は今年のテーマに「欲を出さない」を掲げ「代表にずっといたから、傲慢になっていた。本番は来年。それに合わせていく」と輝きを取り戻そうとしている。

 自国開催の五輪で、日本のお家芸といわれてきた体操競技にかかる期待は、過去の五輪とは比べものにならない。最大の魅力である安定感と、多くの世界大会で培った経験は大きな武器になるはずだ。(小林 玲花)

 ◆加藤 凌平(かとう・りょうへい)1993年9月9日、埼玉・草加市生まれ。25歳。89年世界選手権代表だった父・裕之さんの影響で、9歳から競技を始める。埼玉栄高―順大卒。2012年ロンドン五輪団体銀。16年リオ五輪では団体決勝5種目出場で金メダルに貢献した。世界選手権は13年個人総合銀。14年団体銀、15年団体金。163センチ、54キロ。

 ◆体操男子の東京五輪への道

 団体は4人が出場。18年世界選手権(カタール・ドーハ)で3位に入り、出場権を獲得している。東京五輪から種目別だけに出場する「個人枠」も設定され、種目別W杯の成績上位者に出場権。

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