高橋尚子さん&野口みずきさん「お互いの走りをマネしようとした」金メダリストが秘話明かす

スポーツ報知
トークショーで会場を盛り上げる高橋尚子さん(左)と野口みずきさん

 第53回青梅マラソン(17日、東京・青梅市)の開会式など直前イベントが16日、青梅市総合体育館で行われ、2000年シドニー五輪と2004年アテネ五輪の女子マラソンでそれぞれ金メダルを獲得した高橋尚子さん(46)と野口みずきさん(40)がAOSYNスペシャルトークショーで共演した。小気味良いピッチ走法の高橋さんとダイナミックなストライド走法の野口さんは、現役時時代、ともにライバルの走りをマネして取り入れようと模索していたことを明かした。

 日本女子マラソン界が誇る2人のレジェンドは互いをリスペクトする気持ちにあふれていた。青梅マラソンに参加する市民ランナー約1500人が集まったトークショー。「Qちゃん」の愛称を持つ高橋さんは「私は野口さんをミズキングと呼んでいます。私はQちゃんだからクイーンかな。きょうは、その野口さんと一緒にトークショーに参加できてうれしい」と満面の笑みで話した。野口さんは「私も高橋さんと一緒にイベントに参加することをずっと楽しみにしていました。高橋さんはあこがれのランナーです。現役時代は絶対に口にしませんでしたけど」とうれしそうに話した。

 シドニー五輪金メダリストの高橋さんと、その4年後にアテネで金メダルを獲得した野口さん。同じように金字塔を打ち立てた2人の走りは対照的だった。野口さんが「現役時代、練習で高橋さんのようなピッチ走法を取り入れたことがありました。結局、かみ合いませんでしたが」と明かすと、高橋さんも「私は野口さんみたいなダイナミックなストライド走法で走ってみたかった。実は私もストライド走法で走ったことがありましたが、うまくいきませんでしたね」と笑顔で話した。

 お互いライバルの走りを研究した上でたどり着いた答えがオンリーワンだった。「100人のランナーがいたら100人の走り方がある。自分に合った走りをすることが一番なんです」。世界を極めた高橋さんの言葉に会場を埋め尽くした市民ランナーから感嘆の声が上がった。

 シドニー、アテネで金メダルを獲得し、日本女子マラソン界は全盛期を迎えたが、その後、五輪メダルから遠ざかっている。2人の金メダリストは後継者の誕生を強く待ち望んでいる。「現時点でMGC(2020年東京五輪マラソン代表選考会)の出場権を獲得している女子選手は9人と少ないですが、五輪本番で活躍が期待できる選手はいます。鈴木亜由子さん(日本郵政グループ)、松田瑞生さん(ダイハツ)に期待しています」と高橋さんは話す。野口さんは注目選手として「目力が強い松田さんはいいですね。オーラを感じます」と明かした。

 高橋さんはシドニー五輪直後の01年、野口さんはアテネ五輪直前の04年にそれぞれ青梅マラソン女子30キロを大会記録で制した。野口さんがマークした1時間39分9秒、高橋さんがマークした1時間41分57秒は今でも大会歴代1、2位。青梅路で披露した“ワールドクラス”の走りは伝説となっている。

 17日の大会当日、高橋さんは10キロの部、30キロの部の両レースを最後尾からスタートする。「皆さんを応援しながら35キロくらい走りますよ」と力強く話した。野口さんはスペシャルスターターを務める。「15年ぶりに青梅に戻って来られてうれしい。スペシャルスターターとして皆さんを見送った後、私も走りたいです」と続いた。

 早春の青梅路。2人のレジェンドは現役時代と変わらない輝きを放っている。

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