京大卒・山西が競歩「世界陸上代表選考テスト」で世界4位の会心解答

スポーツ報知
男子20キロを制し、ドーハ世界陸上代表に内定した山西利和

 今秋のドーハ世界陸上(9~10月)代表選考を兼ねて行われた男子20キロで、世界ランキング3位の山西利和(23)=愛知製鋼=が世界歴代4位の1時間17分15秒で優勝。自身初の世陸代表に内定した。世界ランク1位の池田向希(20)=東洋大=は1時間17分25秒で3位に入り、日本選手権(2月、2位)の結果と合わせて代表入りが有力。世界記録保持者の鈴木雄介(31)=富士通=は4位に終わり、今後はGPシリーズ王者に与えられるワイルドカードで切符獲得を目指す。

 山西の“末脚”は強かった。気温5度前後の寒さも、雨も関係ない。残り1キロ手前で単独首位に立ち、後続をちぎった。「ラスト2キロと決めていた。やっと世界のスタートラインに立てる」。世界歴代4位。ドーハ行きをもぎ取る会心の歩きに、思いがこみ上げた。「一瞬、うるっときたけど、まだこれから。感極まっている場合じゃない」と、青縁眼鏡の奥で涙腺を引き締めた。

 京大工学部卒の頭脳派。正確な動作を理解して体得した美しい歩型を備えながら、スパートが弱点だった。昨夏のアジア大会は、残り500メートルで振り切られ2位。今大会へは1キロ3分30~40秒、2キロ7分25~30秒の速いペースで歩く練習を繰り返した。「レースの中でしっかり出せた」。日本陸連の今村文男・五輪強化コーチ(52)も「持ち味を十二分に発揮した。ドーハも期待できる」と背中を押した。

 山西は寮の自室居間の壁に、3位の日本選手権(2月)、4位の世界競歩(昨年5月)の順位札を飾っている。ふとした時、目に入るように。「悔しさがあるからバネになる」。競り負けた己を乗り越え、ドーハは優勝候補として臨む。世陸で日本人最上位メダリストなら、東京五輪代表にも内定。「ドーハ、東京で2大会連続金メダルを目指す」と宣言した。(細野 友司)

 ◆山西 利和(やまにし・としかず)1996年2月15日、京都・長岡京市生まれ。23歳。中学1年で陸上長距離を始め、堀川高1年から競歩も始める。2013年世界ユース選手権1万メートル優勝。京大を経て18年愛知製鋼入社。同年ジャカルタ・アジア大会20キロ銀メダル。好物は魚。趣味は読書で、主に推理小説が好き。164センチ、54キロ。家族は両親と弟。

 ◆男子20キロ競歩の東京五輪への道 

 国別の代表枠は最大3。19年ドーハ世界陸上で表彰台に立った日本勢最上位の選手は、即時内定となる。それ以外の選考は未定で、20年日本選手権や全日本能美大会が選考レースとなる見込み。

 〇…16年リオ五輪男子50キロ銅メダルの荒井広宙(30)=埼玉陸協=が移籍決断の理由を明かした。1月末で自衛隊を退職し、4月から富士通入り。五輪強化コーチも務める今村氏に師事する。「人として素晴らしい方。東京五輪へ、もう一段階上を目指したい」。男子50キロは東京を最後に五輪種目から除外が決定。「時代の流れ。大会をコンパクトにして、いろいろな競技を入れるため仕方ないこと」と受け止めた。

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