拓大でパラスポーツをテーマとしたフォーラム、篠田麻里子さんらがその魅力と未来像を紹介

スポーツ報知
フォーラムに参加した(左から)長谷川さん、松橋准教授、篠田さん、京谷さん、小河原記者、中山さん

 拓殖大学は「第4回 TAKUSHOKU NEW ORANGE スポーツフォーラム 2020に向けて ~パラスポーツを知ろう~」を同校文京キャンパスで開催。パラスポーツをテーマとした基調講演をはじめ、同校商学部の松橋崇史准教授(37)、女優でタレントの篠田麻里子さん(33)、車いすバスケットボール日本代表アシスタントコーチの京谷和幸さん(47)によるトークショー、競技用車いすの体験試乗会を実施。様々な視点からパラスポーツの魅力とその未来像が紹介された。

 東京オリンピック・パラリンピック開催の2020年に創立120周年を迎える拓殖大学。この大きな節目の年に向けて同校では、真の大学改革「拓殖大学 教育ルネサンス2020」に取り組んでいる。その目標の一つである「グローバル人材=拓殖人材」の育成のために立ち上げられたのが、「2020 TAKUSHOKU NEW ORANGE PROJECT(拓殖 ニューオレンジプロジェクト)」だ。

 「オレンジ」は拓殖大学のスクールカラー。フレッシュで瑞々しいオレンジの名を冠した同プロジェクトは、「2020年 東京オリンピック・パラリンピック」に向けて、スポーツへの関心と理解を深めることを目的として15年から開催されている。

 16日に行われた第4回目のテーマは「パラスポーツ」。拓殖大学・川名明夫学長は「来年の東京オリンピック・パラリンピックを前に、パラスポーツも色々なところで紹介されるようになりました。今回のフォーラムが、“みんなで参加できるスポーツ”“みんなで観るスポーツ”としてのパラスポーツをより知っていただける機会になればうれしいです」とあいさつした。

 トークショーでは、松橋准教授、京谷さん、篠田さんが、教育者、アスリート、観る人、支える人の立場からパラスポーツの魅力と未来について語り合った。

 司会を務める本紙運動二部・小河原俊哉専門委員から、車いすバスケットボールの面白さについて聞かれた京谷さんは「スピード感と激しさ、その中でのボールさばきが一番伝わりやすい魅力だと思います」と見どころを解説した。

 東京都による2020年東京パラリンピックを盛り上げるためのプロジェクト「TEAM(チーム) BEYOND(ビヨンド)」のメンバーである篠田さんは昨年、独・ハンブルクで開催された車いすバスケットボール世界選手権の日本対イタリアを現地で観戦。「ものすごい迫力! 体の大きな相手チームに日本選手たちが粘り強さとチームワークで立ち向かっての逆転勝利! 本当にかっこよかったです」と、その時の感動を語った。

 パラリンピック種目として約60年の歴史を誇る車いすバスケットボールだが、コートが傷むことを懸念して使用を許可する体育館が限られるなど、その競技環境は整っているとはいえない。松橋准教授は「“ウチでは難しい”という地域がある一方で、秋田の能代市などでは日本代表を受け入れて盛り上げることによって、地域交流も活性化している。今後、こういった場所が増えていくのでは」と来年のパラリンピック東京大会開催に向けて、社会的な理解が徐々に深まっている現状を紹介した。

 車いすバスケットボールのテクニックを知ってもらおうと、ステージ上でデモンストレーションも実施。ゲストの車いすバスケットボールの森紀之選手がディフェンスやドリブルを披露すると、相手役を務めた同校男子バスケットボール部の長谷川智大さんは、「次元が違う! ボールを扱いながらあのスピードで動けるなんて本当にすごい」と技の冴えに舌を巻いた。

 競技用車いすに試乗すると、よどみない操作としっかりとしたパスで運動神経の良さを披露した篠田さんは「パラスポーツに携わるようになって感じたのがその可能性や挑戦する心。選手たちを見て私ももっと色々なことに挑戦しようという活力になりました。パラスポーツの魅力をぜひ皆さんに感じていただきたい。来年はパラリンピックが東京で見られるので一緒に応援できたらうれしいです」と訴えた。

 来年の“大舞台”に向けて選手たちに可能な限り準備をさせて行きたいと意気込む京谷さんは、「様々なパラスポーツがあり、色々な選手がいて、それぞれにドラマがある。彼らが競技をする姿を見るだけで“何か”感じとってもらえる。まず会場に行って、皆さんが見たもの、感じたものを素直に受け止めていただきたいです」と呼びかけた。

 今回のフォーラムで総合司会という大役を務めた政経学部3年の中山裕理さんは「大勢の来場者の皆様を前にしての司会は緊張しました。これまで知らなかったパラスポーツの魅力を間近で見られたことにとても刺激を受けました」。

 フォーラムの観覧と合わせて、会場前で行われた競技用車いすの試乗体験にも参加した、神奈川県在住の北野雅美さんは「車いすの動きが良すぎてかえって怖いくらいで、あれを使ってどんなプレーが展開されるのか、ますます興味がわきました。東京オリンピック・パラリンピックのボランティアにも申し込んでいるので、今回はとてもいい勉強になりました」と、今日一日の収穫に笑顔を見せた。

 パラスポーツをテーマに選んだ今回のフォーラムは、国連サミットで採択された、人権、環境、資源などの問題に取り組む、持続可能な開発目標「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」を意識したもの。拓殖大学では今後も同様の取り組みを含めた活動を積極的に行っていく。

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