【箱根への道】関東学連が気温20度の網走で記録挑戦競技会、限界に挑んだ70人

2018年7月20日12時0分  スポーツ報知
  • 午後7時30分にスタートした1万メートルA組。気温20度と絶好のコンディションで争われた(カメラ・太田 涼)
  • 5000メートルは国学院大の浦野(右から3人目)がトップでゴール
  • 網走夏季記録挑戦会上位記録

 箱根駅伝を主催する関東学生陸上競技連盟(関東学連)は15日、「関東学生網走夏季記録挑戦競技会」を初開催した。長距離ブロック強化の一環として5000メートル13分台、1万メートル28分台という“大台”をクリアすべく実現。日本各地で気温35度を超える暑さが記録される中、北海道で午後6時30分から始まったレースは20度以下という絶好のコンディション。学生70人が限界に挑んだ北の大地の熱戦を追った。

 涼しい。寒いぐらいだ。暑さから縁遠い北海道・網走に集結した選手たちは長袖のジャージーに身を包み、ウォーミングアップ。気温20度、湿度81%、南西の風1・6メートル。風は多少強いものの、レース前に好記録が期待されるコンディションが整い「北海道で、しかもペースメーカー(PM)がいて、日が落ちた時間にレースができる。これ以上ない環境」と東海大・両角速(もろずみ・はやし)監督(52)。5000メートル13分台、1万メートル28分台を狙うために初開催された大会は関東学連に所属する大学間の相互協力があって実現した。

 当初は若手育成に注力したい日本陸連から「ホクレンディスタンスチャレンジ(ホクレンDC)」に出場する学生を増やせないかどうか、打診があったという。だが、持ちタイムの良い選手から順に遅い時間帯のレースになるため、実力はあっても記録を持たない選手はホクレンDCへエントリーしても昼間の気温が高い時間の出走になる。

 14日のホクレンDC最終戦(士別)を2日間開催にする案もあったが、より気温・湿度が低く条件の良い網走が開催場所に設定された。関東学連の日隈広至副会長は「ホクレンDCや日本選手権、ユニバーシアードなどの標準記録を狙うレースにしていきたい。ここで切符をつかんでほしい」と期待する。

 学生3大駅伝が秋以降にあり、夏合宿の重要性が高いため、大学長距離ブロック間での合同練習や強化はこれまで実現しなかった。神奈川大・大後栄治監督(53)は「こうして『強化していこう!』と協力するのは初めて。駅伝ももちろん大事ですが、個を育てた先にチームの勝利もある」と意義を説く。駅伝対策委員長の上田誠仁氏(59)も「自チームを強くすることも重要ですが、陸上界の発展のために団結すべき点も多々ある。そのきっかけになれば」と強調していた。

 午後6時30分に5000メートルがスタート。ケニア人PMのジョセフ・オンサリゴ(那須建設)が13分55秒ペースで刻み、箱根駅伝1区2位の浦野雄平(国学院大3年)が完全マーク。トップでゴールも14分は切れなかったが「今の時期に記録に挑めるのはとても恵まれている。来年以降も出場したい」と環境に感謝した。

 1万メートル最終組もアレクサンダー・ムティソ(NDソフト)がPMとして後続を気遣いながらレースを展開。28分台でトップを獲得した片西景(駒大4年)は「自己記録を更新できず物足りなさもありますが、コンディションは最高。東京では暑くて…」。午後8時のレース終了後は気温18度。日本列島は35度を超える猛暑だったが、走るのにこの上ない気象条件だった。

 学生70人が参加し、自己記録を更新したのは6人。風や湿度の影響もあるが、全3レース中1レースはPM不在で、スローペースとなってしまったことも要因だろう。上田委員長は「初開催の中で見つかった課題を共有して、来年以降につなげたい。定着させて、毎年の開催を目指します」と宣言。「箱根から世界へ」の理念のもと、つながれたタスキが、新たな時代を切り開こうとしている。

 ◆“2本立て”確率へさらなる連携と積極的な参加必須…記者の目

 初開催だった網走夏季記録挑戦会。毎年11月に開催される「1万メートル記録挑戦会」との“2本立て”が確立されれば、学生にはケガや不調があってもどちらかで好走できる可能性が高まる。課題は準備期間が短く、周知徹底できなかった点。出場者が増えれば、より細かな組分けが可能となり、記録向上が狙える。“自己記録更新率”を上げるためにも、さらなる連携と積極的な参加は必須だ。

 これまでなかった大学間の協力によって実現したが、きっかけにすぎない。2年後に迫った東京五輪をはじめ、陸上の各種国際大会はランキング制を取り入れるため、ポイントが高い海外レース参戦も必要になる。この記録挑戦会から、国内だけでなく海外レースの参加標準突破も見えてくればさらに活況となるだろう。駅伝にとらわれない取り組みは、今後の長距離界を世界のトップへと押し上げる力を持っている。コンディションの良さはホクレンDCで実証済み。出場しない理由はない。(陸上競技・箱根駅伝担当 太田 涼)

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