【箱根への道】明大、難病と闘うエース坂口裕之 タマネギ効果で復活だ

2018年12月16日12時0分  スポーツ報知
  • 好天の下、笑顔でランニングのポーズを見せる明大・坂口(カメラ・関口 俊明)
  • 箱根駅伝にエントリーされた明大(前列左から)鈴木、酒井、角出、名合、岸、小袖、手嶋、河村(後列左から)坂口、阿部、中島、斉藤、三輪、佐々木、前田、村上

 ◆明大 前回不出場(2年ぶり60回目) 予選会5位、出雲不出場、全日本9位

 2年ぶりに箱根路に復帰した明大が15日、都内の八幡山グラウンドで練習を公開した。骨髄増殖性腫瘍の一種である真性多血症と闘いながら走るエース・坂口裕之(4年)は今季の主要レースにほとんど出場せず、新春の大舞台に懸けてきた。秘密兵器も取り入れて体調は万全。60回目の出場となる今大会で4年ぶりのシード権獲得を狙う。

 涙の分だけ坂口は強くなった。「朝と夜、泣いちゃうんです」。エースの重責に悩まされている…わけではなく、秘密兵器を導入したからだ。「タマネギを朝晩1/4玉ずつ食べています。スライサーで調理しますが、涙は我慢できなくて」。血中の赤血球が多く、ドロドロになりやすい体質を改善するために9月から毎日欠かさず摂取。体調の良さを実感しつつある。

 昨季は予選会を欠場。チームも10年ぶりに本戦出場を逃した。一方、トラックでは日本人トップクラスの実力を見せたが「あくまで日本人の中での話。留学生との差を痛感しました」。何かが足りない。焦りと不安を抱えて今季に突入した。

 諫早高3年時の海外遠征で知り合ったマクスウェイン・スチュアート(オーストラリア)が5000メートルで13分5秒23をマーク。「出会ったときはほぼ同じタイムだったのに、今では40秒も差がついて。置いていかれたな、と」。同い年が日本記録(13分8秒40)を超える活躍。火がついた。

 「昨年まではいろいろと中途半端だった。とことんやり切れるようになりましたね」と山本佑樹監督(41)。体調が良ければ行わなかった血液検査も月に1回必ず受診。フォームも一から見つめ直し、チームを離れて別メニューに取り組んだ。

 坂口は「山で例えれば、7合目まで一気に登る方法は知っています。でも、頂上までの道は別にある。一度山を下りてでも頂を目指したい」と意気込んだ。新フォームがなじまずにタイムが落ちた。昨年は日本人トップだった全日本大学駅伝予選会も今年は159人中103位。予選会や伊勢路は選考漏れだった。それでも体質改善と「一瞬力を入れたら、ぐんと進む」推進力を手に入れ、メンバーの座を勝ち取った。

 山本監督が「どんどん調子を上げているので往路起用も考えています」と言えば、坂口も「5、6区以外ならどこでも行けます」。苦しんだ1年。最後に流すのはうれし涙だ。(太田 涼)

 ◆坂口 裕之(さかぐち・ひろゆき)1996年12月22日、長崎・佐世保市生まれ。21歳。日宇中1年で陸上を始め、全中3000メートル優勝。諫早高3年時に国体少年男子A5000メートル5位、全国高校駅伝1区5位。箱根駅伝は1年3区20位、2年10区13位。趣味は読書と散歩。169センチ、55キロ。家族は両親と姉。

 ◆真性多血症 骨髄増殖性腫瘍の一種。赤血球が増えて血液の粘度が高まることで循環が悪くなり、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高くなる。日本では100万人に2人程度の発症率と言われる。95%以上に遺伝子の異常が見つかるが、坂口の場合は見つからず原因が分かっていない。治療法は血を抜く(しゃ血)、抗がん剤投与などがある。

 ◆明大1907年創部。20年の第1回箱根駅伝に出場した伝統校。総合優勝7回を誇るが、最後の栄冠は49年大会までさかのぼる。出雲駅伝は最高7位(2011、13年)、全日本大学駅伝は最高2位(14年)。長距離部員は49人。タスキの色は紫紺。主な大学OBはサッカー日本代表DF長友佑都ら。

 ◆戦力分析 予選会5位通過ながら、秋に好記録が続出した。1万メートルタイム上位10人の平均は青学大に次いで2位。今季1万メートル日本人学生トップの阿部、復調した坂口、前回関東学生連合で4区を走った中島らを軸に上位で展開する力は十分ある。
 山の経験者がいないが、5区には須磨学園高時に世界クロカン代表経験のある酒井の起用が濃厚。6区を担えるスピードランナーも豊富なため、大きく外すことは考えにくい。山本監督は「前回は1区で西山君(東洋大)が1年生で区間賞。物おじせず挑戦してほしい」とルーキー・鈴木の1区も示唆した。

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