箱根駅伝レース外のドラマ あわや通行止め、先頭ランナー通過55分前まで消火活動

2019年2月9日12時0分  スポーツ報知
  • 東洋大の小笹(手前)と東海大の阪口が激しい首位争いを繰り広げた7区。選手が通過する55分前まで火災による交通規制が敷かれていた

 東海大が青学大の連覇を止め、悲願の初優勝を遂げた第95回箱根駅伝(1月2、3日)の激闘の陰で、あわやコースが通行止めとなる事態が起きていた。3日朝に7区沿道の神奈川・小田原市内で火災が発生。先頭ランナーが通過する55分前まで消火活動が行われ、交通規制が敷かれていたが、警察、消防など関係各所の尽力によってレースは予定通りに開催。まさかのアクシデントの舞台裏に迫った。

 箱根駅伝には3つの「さか」がある、といわれている。「上り坂」「下り坂」そして「まさか」だ。

 往路を制した東洋大の小笹椋(4年)が逃げ、悲願の初優勝を狙う東海大の阪口竜平(3年)が追う。さらに、往路6位と出遅れた青学大の区間記録保持者の林奎介(4年)が猛追。3強による優勝争いが激化した7区で、実はレースと別次元の「まさか」があった。

 1月3日朝、小田原市小八幡の民家で火災が発生した。小田原市消防本部によると、午前6時30分に通行人から119番通報があり、同33分に消防車両が出動した。火災現場は片側1車線の国道1号線上り側の沿道。7区の8・2キロ地点だった。まさに7区のコース上にポンプ車など11台の消防車両が配備され、消火活動が行われた。その間、警察によって交通規制が敷かれ、緊迫した雰囲気が漂った。

 消防士、地元の消防団の尽力によって鎮火。負傷者は80歳の男性1人。軽傷だったものの、民家は半焼全損の大きな被害となった。消火活動が終了したのは午前8時27分だった。

 先頭を走る小笹が現地を通過したのは、わずか55分後の午前9時22分。約1分後に阪口、さらに約3分後に駒大の小島海斗(2年)、林が通過した。

 火災発生後、直ちに主催の関東学生陸上競技連盟(関東学連)、神奈川県警など関係各所が協議。上り車線の交通規制が解除されなかった場合、下り車線を通ることなどが検討された。結果的にレースに影響が及ばなかったが、もし消火活動が続いていた場合、どうなったのだろうか?

 関東学連の幹部によると、成績の取り扱いは「踏切」と同様という。各選手が通行止めの地点に到着した時点で審判員が走行を制止し、タイムを計測。例えば30分間、通行止めとなった場合、通行止めが解除された後、全選手が一斉に再スタートし、レース終了後にロスタイムを減算する。

 今大会の沿道観客数は約124万人。正月の風物詩となったビッグイベントは多くの人の尽力で成立している。小田原市消防本部によると、通常、消火活動終了後、速やかに現場の調査作業を行うが、今回の火災に限っては現場の安全を確保した上で、調査作業は全チームの通過後に行い、円滑な大会運営に協力した。

 東海大の阪口は区間2位の力走で東洋大との差を1分8秒から4秒へと肉薄し、初優勝を大きく引き寄せた。激闘から1か月が過ぎた今、実感を込めて語る。

 「沿道で火災が発生したという情報は入っていましたが、大会には影響ないということだったので、正直に言えば、走る前はレースに集中して目の前のことで精いっぱいでした。大会が終わった後、状況を聞いて、箱根駅伝は多くの人に支えられていると気がつきました。心から感謝します」

 第95回箱根駅伝は、ランナーと同様に大会を支える人々の奮闘が改めて証明された大会にもなった。(竹内 達朗)

 ◆15年には火山活動でコース変更検討

 今回は55分前に消火活動が終了し、予定通り開催されたが、大会の原則はあくまで安全第一。箱根の火山活動が活発化した15年には5、6区のコース変更などが検討された。関東学連の駅伝対策委員長を務める山梨学院大の上田誠仁監督(60)は「選手はじめ観客、関係者の安全が最優先。そのための危機管理マニュアルがある。地震や噴火、火事なども災害の規模が大きい場合は潔く中止することもあります」と説明した。

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