貴ノ岩、暴行被害から復活星「やるだけ」死力尽くした168日ぶり土俵

2018年3月12日6時0分  スポーツ報知
  • 軽い身のこなしで翔猿(手前)をいなし、寄り切りで白星を挙げた貴ノ岩(カメラ・石田 順平)
  • 十両土俵入りする貴ノ岩(右)
  • 報道陣を避けるように、裏口から会場入り

 ◆大相撲 春場所初日 ○貴ノ岩(寄り切り)翔猿●(11日・エディオンアリーナ大阪)

 元横綱・日馬富士関(33)から暴行被害を受けた西十両12枚目・貴ノ岩(28)=貴乃花=が、昨年秋場所千秋楽(17年9月24日)以来168日ぶりに本場所の土俵に戻ってきた。東十両13枚目・翔猿(とびざる、追手風)を寄り切りで破り復帰戦白星。初場所で6年ぶりの平幕優勝を果たした関脇・栃ノ心(30)=春日野=、右手薬指を痛めながら強行出場した横綱・鶴竜(32)=井筒=は勝ったが、高安(田子ノ浦)、豪栄道(境川)の両大関は黒星スタートとなった。

 両足を開き天井を見上げた。昨年秋場所11日目(17年9月20日)以来172日ぶりの白星をかみしめた貴ノ岩は、館内の激励の拍手と歓声を浴びた。西の花道を引き揚げた際には「おめでとう」と祝福された。暴行事件後、3か月近く所在すら分からなかったモンゴル人力士の“帰還”。両目はちょっと潤んでいた。

 取組では、元日馬富士関に殴られ10針縫った頭部ではなく胸から翔猿にぶつかった。幕内の常連にとって“格下”の十両の土俵とはいえ、2場所のブランク。思わず引いたが相手も体勢を崩し、得意の右が入ると体をあずけて寄り切った。観客からは「全然大丈夫。親方が(心配を)言っているだけ」との声が飛んだ。

 表舞台では歓迎ムードも、舞台裏では緊張が走っていた。ファン、報道陣が待ちかまえた正面入り口を避けて、許可されていない裏口から1人で場所入り。取組後は付け人が「作業の邪魔です!」と声を荒らげて報道陣を制した。帰りの車に乗る直前まで質問を受けたが、「一生懸命やるだけ」「必死でした」の2言をひたすら反復し、頭部の状態を聞かれると口を閉ざした。

 師匠の貴乃花親方(元横綱)は9日に出場を明かした際に、「途中休場するかもしれないが、死力を尽くす思いでやる」と見切り発車での出陣を認めていた。一連の暴行事件の被害者が土俵に戻ってきたことは角界にとってひとつの区切り。八角理事長(元横綱・北勝海)は「一日とってだいぶ楽になると思う。騒ぐと本人も大変な場所になってしまう。精神的にもね」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。(網野 大一郎)

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