御嶽海、初のストレート給金に王手…19年ぶり3横綱1大関休場の事態に主役に

スポーツ報知
琴奨菊(左)を寄り切りで下す御嶽海(カメラ・能登谷 博明)

◆大相撲名古屋場所7日目 ○御嶽海(寄り切り)琴奨菊●(14日・ドルフィンズアリーナ)

 関脇・御嶽海が前頭筆頭・琴奨菊を寄り切って、2日続けて単独トップを死守。自身初のストレート給金に王手をかけた。7日目を終えて関脇が唯一の全勝は07年秋場所の安美錦以来。右足親指を痛めた栃ノ心は2000年の武双山(現藤島親方)以来の新大関休場となった。1999年春場所以来19年ぶりに3横綱1大関の離脱する緊急事態に、三役で初の2ケタ勝利を狙う大関候補が場所の主役に躍り出た。

 横綱、大関が立て続けに休場する“負の連鎖”の中で御嶽海に主役を張る権利が巡ってきた。自己タイの初日から7連勝。栃ノ心の休場で役力士として優勝争いを引っ張る期待が集まるが、「(意識は)なし!」と無心を強調。外気温37・5度の暑さの中、空調が故障し館内も暑かったが張本人は涼しい顔だった。

 “専門外”の四つ相撲で元大関を圧倒した。琴奨菊に左四つを許して押し込まれたが、逆に寄り返して最後は腰を落とす盤石の体勢で寄り切り。相手のお株を奪う勝ち方にも、「たまたま。先に体が動いてくれた」。今年初場所以来2度目の初日から7つ連続で白星を並べる結果で、荒れる土俵を盛り上げた。

 3場所前は勝ち越し王手から、スタミナ不足が原因となり、残り8日間で1勝7敗とまさかの大失速。苦い経験から体力増強に気を配り、名物の「うなぎ」を食べ続けた効果が出ている。6月下旬に名古屋入りして名店をまわり合計5回。前日の13日は朝と夜の2回食べたという。「なんで好きなんでしょうね。あのタレの味かもしれない」と自己分析。前日は白焼きにキャビアを乗せるぜいたくな食べ方も堪能。この日の力強い相撲につなげた。

 三役は9場所連続10度目だが大関取りの土台となる2ケタ勝利は1度もない。今回は上位陣がそろって休場、2ケタどころか初優勝も視界に入る。最高の形で折り返しの中日を迎えるが、「じっくりいくよ」。このままの相撲を貫けば結果はついてくると言いたげだった。(網野 大一郎)

スポーツ

×